南ア下院、ラマポーザ氏を大統領に再選出 対立超えて連立合意 白人野党「団結し共同統治」

AI要約

南アフリカの下院でANCがDAなどと連立政権を樹立し、Ramaphosa氏を再選出

連立協議の過程や経済界や外国の投資家の信頼を維持するための経済政策

ANCとDAが合意した持続可能な経済成長や構造改革の推進が焦点

【カイロ=佐藤貴生】南アフリカの下院(定数400)で14日、故マンデラ氏が率いた名門政党「アフリカ民族会議」(ANC)が白人主体のリベラル政党「民主同盟」(DA)などと連立政権を樹立することで合意した。下院は同日、ANCのラマポーザ氏を大統領に再選出した。ANCは長年の敵対関係を越えてDAとの歩み寄りを実現し、30年続いた単独政権に終止符を打った。

ロイター通信によると、黒人のズールー人主体のインカタ自由党(IFP)や、カラード(混血)の支持を得る右派の愛国同盟(PA)も連立に加わる。ラマポーザ大統領は19日に2期目の就任式を行う。

テレビで演説したDAのスティーンハイゼン党首は「団結と協力の精神で国を共同統治する」と述べ、歴史的な転換を称賛した。

ANCは5月29日投票の下院総選挙で、アパルトヘイト(人種隔離)撤廃後の1994年の選挙以来、初めて過半数を割った。汚職の蔓延(まんえん)や格差の拡大に、国民が厳しい審判を下した形となった。

連立協議の過程では、ANCが白人の土地接収や天然資源の国有化などを掲げる急進左派と組む可能性も指摘された。アパルトヘイトの記憶が残るANC内部には、DAとの連立を敬遠する向きもあったという。

しかし、ANCは市場経済を重視するDAとの連立を選択。左派との連携を避けたことで、経済界や外国の投資家の信頼も維持される見通しとなった。

ロイターによると、連立を決めた各党は、持続可能な経済成長や雇用創出、構造改革などを推進する方針で合意した。政策調整や閣僚ポストの配分が焦点となるが、ANCとDAを中心とする協調体制が長続きするかを懸念する声もある。