中国がNATO軍人勧誘 戦闘機訓練、米英など警鐘

AI要約

米英を含む5カ国政府は、中国人民解放軍がNATO加盟国のパイロットを勧誘していることを警告しました。

中国は軍の指導者を隠し、巨額の報酬で西側諸国の人材を採用しており、NCSC高官が警戒を呼びかけました。

人民解放軍は洗練された手法で西側諸国の戦闘機パイロットを採用し、対策を協議する会合が開かれた他、報酬は数十万ドルに上ると報じられています。

 【ワシントン時事】米英など5カ国政府は5日、中国人民解放軍が戦闘機パイロットの訓練を指導させるため、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の現役および退役軍人をひそかに勧誘していると警鐘を鳴らした。

 米国家情報長官室が発表した。

 5カ国は米英とカナダ、オーストラリア、ニュージーランド。いずれも英語圏で、機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」を構成している。

 米国家防諜(ぼうちょう)安全保障センター(NCSC)高官は声明で、人民解放軍が正体を隠し、巨額の報酬で西側諸国の人材を積極的に採用していると説明。「安全保障を損ない、軍人仲間をリスクにさらす行為」だと警戒を呼び掛けた。

 発表によると、人民解放軍は南アフリカや中国の民間企業を使い、米英豪加のほかフランスやドイツの戦闘機パイロット経験者を採用。警戒を強めるNATO各国と友好国の当局者約120人が1月に会合を開き、対策を協議した。南アフリカと中国の企業には規制措置を講じた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は米当局者の話として、人民解放軍が南アフリカのほか、ケニア、ラオス、マレーシア、シンガポール、タイなどに訓練センターを設置したと報道。報酬は数十万ドル(数千万円)に上り、これまでに少なくとも英軍出身の30人を含め、数十人のパイロットが中国軍で指導に当たったという。

 自国政府の許可を得ず他国の軍に訓練を提供した場合、刑事罰に問われる可能性がある。米メディアによると、人民解放軍に訓練を提供した米武器輸出管理法違反の疑いで、元米海兵隊パイロットが2022年に豪州で拘束されている。