米英などが中国による軍人勧誘に警告 高額報酬で情報収集が狙いか

AI要約

米欧諸国の情報機関が警告したところによると、中国が現役・退役軍人を人民解放軍の訓練指導のために勧誘しているとされる。

人民解放軍は、米欧の現役・退役軍人を南アフリカや中国の飛行訓練学校を使って勧誘しており、特に戦闘機パイロット経験者をターゲットとしている。

軍事情報の漏えいや中国側の能力向上を警戒する米欧側は、企業との取引や退役軍人の中国への関与を規制する対策を取っている。

 米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国(通称ファイブ・アイズ)の情報機関は5日、中国が米欧諸国の現役・退役軍人を人民解放軍の訓練指導のために勧誘しているとの警告を共同で出した。人民解放軍は、南アフリカや中国の飛行訓練学校を使って、米欧の戦闘機パイロット経験者を勧誘しているとされる。米政府は軍事情報の漏えいや中国側の能力向上を警戒している。

 米国家情報長官室によると、人民解放軍は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの現役・退役軍人を勧誘している。人民解放軍との関係を隠した南アや中国の訓練学校が、ヘッドハンティングを装って高額の報酬で勧誘するという。

 中国側はこれまでに、米国、カナダ、フランス、ドイツ、豪州、英国などの戦闘機の元パイロットを雇用し、人民解放軍の空・海軍の訓練指導に当たらせてきた。米国の方がはるかに進んでいる空母の発着艦技術を学ぶ目的があったとの報道もある。

 エンジニアなども勧誘の標的になっており、米欧側は戦術や技能、戦闘手続きといった情報の収集が狙いだと分析している。

 米欧諸国は過去にも軍関係者に警告を発してきたが、中国側の勧誘の動きは続いている。米欧側は、勧誘に使われた企業との取引や退役軍人の中国への関与を規制する対策も取っている。【ワシントン秋山信一】