脱北者団体「対北批判ビラ20万枚飛ばす」、北朝鮮がごみ風船で報復も

AI要約

韓国の脱北者団体が北朝鮮に向けて20万枚の批判ビラを大型風船で飛ばした。

北朝鮮は韓国に対抗し、ごみをぶら下げた風船を散布し、再びビラが飛ばされた場合には厳しい報復を示唆している。

南北間の緊張は高まり、韓国政府は軍事合意の停止などの措置を取り始めている。

【ソウル=桜井紀雄】韓国の脱北者団体「自由北朝鮮運動連合」は6日、北朝鮮体制を批判するビラ20万枚を同日未明に大型風船で北朝鮮に向けて飛ばしたと明らかにした。北朝鮮は韓国側からのビラの散布に対し、5月末から6月初めにかけてごみをぶら下げた風船を韓国へ大量に散布。ビラが再びまかれれば、「100倍」のごみ風船を飛ばすと警告しており、ごみ風船の散布を再開する可能性がある。

脱北者団体によると、韓国北部の抱川(ポチョン)から大型風船10個でビラを飛ばしたという。韓国歌謡「トロット」の曲などを収めたUSBメモリーも風船にくくりつけられた。

韓国政府は「表現の自由の保障」を強調し、団体にビラ散布の自粛は求めない立場を示していた。団体も韓国の警察から散布を阻止されることはなかったと説明した。

北朝鮮の国防次官は2日、ごみ風船散布の一時中断を表明するとともに、韓国側からのビラが発見されれば、「100倍の紙くずと汚物を再び集中散布する」と警告していた。

ごみ風船の大量散布などを受け、韓国政府は4日、2018年に南北間で結んだ軍事合意の効力の全面停止を決定。軍事境界線付近での砲撃訓練などの再開を準備している。北朝鮮が再度ごみ風船の大量散布で報復すれば、さらなる南北間の緊張激化は避けられない。