ロシアと北朝鮮の接近、韓国国防相が警戒呼びかけ「ヨーロッパにも影響」「全世界の問題だ」

AI要約

申氏はアジア安全保障会議で、ロシアと北朝鮮の関係強化に警戒するよう訴えた。北朝鮮製のミサイルがロシアによって使用されることで、北朝鮮の核・ミサイル開発が促進されているとし、国際社会に警鐘を鳴らした。

韓国軍は、北朝鮮がロシアに武器を提供しているとみており、特に軍事偵察衛星技術の提供によるロケット打ち上げについて指摘。申氏は、この関係が世界中に危険をもたらすとして非難した。

申氏はロシアと北朝鮮の関係を国際社会の裏切りとし、米国と協力してこの脅威に対処する姿勢を示した。

 【シンガポール=小池和樹】韓国の申源●(シンウォンシク)国防相はアジア安全保障会議で、ロシアと北朝鮮の関係強化に警戒するよう訴えた。北朝鮮がウクライナ侵略を続けるロシアに武器を提供し、見返りに得た先端技術で核・ミサイル開発に拍車をかけているためだ。(●はサンズイに「是」)

 申氏は1日に行った演説で、ロシアがウクライナで使った武器の中に北朝鮮製の短距離弾道ミサイル「火星11」が見つかっていることなどを念頭に、「ロシアが北朝鮮の武器で攻撃している」と述べた。「露朝間の軍事協力はヨーロッパにも影響を及ぼしている。全世界の問題だ」と訴えた。

 ロシアはウクライナ侵略の長期化で兵器不足に陥っており、北朝鮮がその穴を埋めているとされる。韓国軍は、昨年9月にロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が会談して以降、北朝鮮が大量の武器をロシアに送っていると分析しており、申氏は演説で「北朝鮮の不法行為を国際社会が声を一つにして糾弾しなければならない」と強調した。

 申氏は北朝鮮が見返りに食糧や石油、軍事技術を得たと推定されるとの見方を示し、「特に軍事偵察衛星技術を集中的に受けた」と言及した。北朝鮮が5月27日に打ち上げに失敗した軍事偵察衛星を搭載したロケットは、ロシアの技術支援を受けて開発された新型とみられる。申氏は衛星の発射に弾道ミサイル技術が使われていると指摘し、「すべての国を攻撃できる脅威だ」と非難した。

 申氏は北朝鮮との関係を深めるロシアに関し、「国際社会を裏切っている」と厳しく批判した。

 申氏は各国国防相らと会談し、北朝鮮情勢などについて議論した。2日には米国のオースティン国防長官と会談し、露朝の武器取引などについて「インド太平洋地域の平和と安定を阻害する深刻な脅威だ」との認識で一致した。