【F1】セーフティーカーが練習走行でまさかのクラッシュ…イタリアGPで起こった“通算470戦目”初めての事故

AI要約

F1のレース中に事故が発生した際に出動するセーフティーカー(SC)の重要性について

SCドライバーの訓練や車両調整、練習走行について

イタリアGPで起きたSCの事故とその影響について

【F1】セーフティーカーが練習走行でまさかのクラッシュ…イタリアGPで起こった“通算470戦目”初めての事故

◇尾張正博のギョロ目でチェック

 F1のレース中に事故などが起きた際に出動するのが、セーフティーカー(SC)だ。F1マシンを安全に走行させるために先導し、レースを止めることなく、事故に対応するには欠かせない存在となっている。

 出番が来れば、市販車を改造したクルマで、世界最高峰の技術者によって開発されたF1マシンを先導する。それに備え、レース車両と同じようにサーキットごとに車体の調整を進め、ドライバーも訓練を重ねている。

 車体の調整はグランプリ初日の3日前から始め、開幕前日の木曜日にはコース上で練習走行。SCだけでなく、救命活動を行うメディカルカーや、レースコントロールで監視するスタッフ、現場で安全を確保するコースマーシャル、そしてテレビクルーも本番さながらの練習に取り組む。

 第16戦イタリアGPでは、その練習中に事故が発生した。国際自動車連盟(FIA)のSCドライバー、ベルント・マイランダーさん(53)がステアリングを握るアストンマーティン・ヴァンテージのF1エディションが、高速走行中にアルボレート(旧パラボリカ)コーナーでコントロールを失い、コースオフ。アスファルトのランオフエリアとサンドトラップを突き抜け、外側のタイヤバリアーに突っ込んでしまった。

 幸いマイランダーさんと同乗者は無傷で、自力でクラッシュしたSCから脱出した。事故の原因は明らかにされていないが、マイランダーさんは「ドライビングミスではない」と明かす。「SCドライバーで最も重要なことは速く走ることではなく、絶対にミスしないこと」と力説。自身通算470戦目で初めて経験するクラッシュだった。

 事故後、アストンマーティンは急きょ新しい車両をイタリアGPに搬送。2台体制で大会中の業務に当たった。そのステアリングを握ったのはマイランダーさん。SCの代わりはあっても、SCドライバーの代わりはいない。 (尾張正博=F1ジャーナリスト)