「夢のよう」に完璧だったアストンマーティンのLMGT3初優勝。追い風となったコルベットとウラカンの衝突

AI要約

アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボがCOTAでのWEC世界耐久選手権で初優勝を果たした。

リベラスはレースをドリームレースと称し、チームの準備やタイヤ管理、トラックリミット違反への注意が勝利の要因だった。

ジェームスが序盤のプレッシャーに耐え、接触事故後は主導権を握り、最終的に優勝への道を切り拓いた。

「夢のよう」に完璧だったアストンマーティンのLMGT3初優勝。追い風となったコルベットとウラカンの衝突

 ハート・オブ・レーシングチームのアレックス・リベラスによると、同チームがサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で達成したLMGT3クラス初優勝は「夢のようなレース」であり、この圧倒的勝利のカギは「起こりうるすべてのミスを出し切る」ことだったと述べた。

 9月1日にアメリカ・テキサス州のオースティンで行われた、WEC世界耐久選手権第6戦『ローンスター・ル・マン』。4年ぶりのシリーズ戦開催となったCOTAの6時間レースをポールポジションからスタートした27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボは、ライバルに順位を譲らことなくレースを支配し、92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ピュアレクシング)に20秒差をつけてフィニッシュした。

 これはチームにとって、またリベラス、イアン・ジェームス、ダニエル・マンチネッリ、そして今季2024年にデビューしたアストンマーティンの最新GT3カーにとって記念すべきWEC初優勝となった。

 また、この勝利によってアストンマーティンのオースティンでのWEC通算勝利数は『10』を数えることとなり、これまでのGTEプロとGTEアマでの成功にLMGT3のそれが新たに加わっている。

「まさにドリームレースのひとつだよ」とリベラスはSportscar365に語った。「シーズンが始まるときには、そのための準備をする。そしてこのようなレースの展開を夢見るものだ」

「でも、それはなかなか実現しないものなんだよね。いつも挫折や予期せぬ困難に直面するんだ。だけど今日は違った」

「今回はどのピットストップも完璧だった。戦略も良く、タイヤは完璧に機能していた。タイヤの内圧と温度はつねに適切な状態にあり、クルマ全体がレース全体を通して本当に良いパフォーマンスを発揮していたんだ」

「接触することはなかったし、トラックリミット違反をとられることもなかった」

 トラックリミットについては、COTAでのレース中にとくに多く取り上げられた。LMGT3だけでなく、ハイパーカーを加えた両クラスの複数のチームが限度回数の警告を受け、なおも違反を繰り返した場合には制限を超過としてペナルティを受けていた。

「レースの序盤にそのことについて何度も話し合っていた」とリベラスは述べた。「トラフィックの対処やプロトタイプカーに抜かれる際は、トラックリミットに留意してそれらに対応するように、とね」

「ダウンフォースを失うと、ワイドに走ってトラックリミットを超えてしまいがちだ。だから積極的に行動する必要がある。しかし言うのは簡単だけど実際にやるのは難しいものだ」

「今日、僕たちは潜在的なミスをすべて回避することに成功し、何ひとつ(ミスを)しなかった。だからこそ勝利を手にすることができたんだ」

 チーム代表兼ブロンズドライバーのジェームスは、レース序盤に85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・デイムス)のプレッシャーを受けながらも順位をキープし、勝利への基礎を築いた。

 その後女性チームのランボルギーニはレースの折り返しを前に、2番手のポジションを争っていた81号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)とターン15で接触。マシンにダメージを受け上位争いから脱落することとなった。

 ハート・オブ・レーシングチームのドライバーは、この2台をマークしていたことを認めた。「僕たちは間違いなく、とくにランボルギーニとコルベットの81号車と戦うつもりだった」とリベラス。

「2台は僕たちと近いパフォーマンスを持っていたが、ランボルギーニとコルベットが接触して前者が(車両の修復のために)ピットガレージに入ってきたとき、それがこのレースの重要な瞬間だった」

「これによって僕たちは後続とのギャップを拡げることができた。すると突然、レース全体が少し違ったものになったんだ」

「(ジェームスとマンチネッリからステアリングを受け継ぎ、最後に)クルマに飛び乗ったとき、まだレースは2時間半ほど残っていたけれど充分なマージンがあったから、僕としては楽な状態でドライブすることができたよ」

[オートスポーツweb 2024年09月03日]