ポルシェ、トヨタとフェラーリのペースに完敗。ロッテラーは落胆も「富士に向けてプッシュし続ける」

　ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクターを務めるジョナサン・ディウグイドによれば、『ローンスター・ル・マン』で優勝争いを繰り広げたフェラーリとトヨタは最近のWEC世界耐久選手権レースで「多くのペースを見つけた」ため、純粋なパフォーマンスという点でポルシェが戦えなくなっているという。

　このドイツのメーカーのワークスカーは、9月1日にアメリカ・テキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われたWEC第7戦の決勝で表彰台争いに加わることができたかもしれないなか、ポルシェ963の6号車と同5号車はどちらも問題を抱えそれぞれ6位と7位に終わった。

　マット・キャンベル、ミカエル・クリステンセン、フレデリック・マコウィッキのトリオがドライブした5号車は、チームがピトー管の上部にあるセーフティコーンを外すのを忘れたため、オープニングラップで予定外ピットインを余儀なくされた。

　一方の6号車はレース終盤5番手を走行していたが、ケビン・エストーレがイエローフラッグを遵守したなかったとしてドライブスルーペナルティを課された。これによりエストーレ／ローレンス・ファントール／アンドレ・ロッテラー組は7番手に後退したがその後、前を走る20号車BMW MハイブリッドV8（BMW MチームWRT）に100秒のストップ＆ホールドペナルティが出されたためポジションを一部取り戻している。

　なお、6号車と同じペナルティが当時レースリーダーだった小林可夢偉組7号車トヨタGR010ハイブリッドにも出たことで、今大会の優勝トロフィーは83号車フェラーリ499PをオペレートするAFコルセの手にわたっている。

「どちらのクルマも完璧なレースができなかった」とディウグイドは総括した。「全体的に見て、今日は勝利を争うペースがなかったと思う」

「対してフェラーリとトヨタはペースを見つけたようで、LMDhのクルマはその日勝ちたい相手と戦っているだけだった」

「（2週間後の）富士のために、もう少しペースを見つける必要がある」

「マニュファクチャラー選手権の戦いは激しくなっており、基本的に次の富士で優勝したチームが首位で最終戦バーレーンを迎えることになるだろう。それを実現することが我々の目標だ」

　ディウグイドがターゲットに挙げるLMH（ル・マン・ハイパーカー）メーカー2社は、直近の3つのレースで勝利を収めている。一方、ポルシェは5月に行われた第3戦スパ・フランコルシャンでサテライトのハーツ・チーム・JOTAが優勝して以来、表彰台の頂点から遠ざかっている状況だ。

「フェラーリとトヨタは、彼らがそれを望むときにペースを持っているように見えた。彼らがレースに勝つことを決めたなら、我々がそれに近づこうとするためにはすべてが完璧でなければならない」とディウグイドは述べる。

　もしどちらのクルマもトラブルフリーだった場合、チームは現実的にどの位置でフィニッシュできたかと尋ねられた同氏は、5号車が表彰台に上る可能性があがれた可能性があると示唆した。

「おそらく3位か4位が彼らのポテンシャルだったと思う。スタート時にパワー落ちていたことを含めず、パーツを取り外すための余計なピットインしなければならなかったために43秒を失った」

「基本的に、セーフティコーンがエンジンの吸気を妨げていたため、チャージエアの温度が高くなっていた」

「そこでタイムを失ってしまった。どこでフィニッシュしても、今より40秒は短縮できたはずだ」

■姉妹車と比べてポテンシャルがなかった6号車

　レース中盤のスティントを担当した6号車のロッテラーは、ペンスキーが走らせた2台のポルシェ963の中で、姉妹車の5号車のほうが速かったと感じていた。

「またしても、戦略的には良い判断でダメージを抑えることができることを示した」と彼は語った。「その点ではオペレーションはうまくいっていた」

「明らかに理想的ではない予選あと、14番手からレースをスタートしてドライブスルーペナルティもありながら6位でフィニッシュすることができた。これらのことを考えると、まずまず良い結果だと言えるだろう」

「姉妹車はかなり強かった。彼らは予選をうまくまとめレースでもより良いペースを見せていた。（差が生じた2台の間に）何が起きたのかを理解する必要がある。僕たちは少しクルマに苦労していた」

「最終的には良いポイントを獲得できた。まだ（チャンピオンシップを）リードしていると思う。あと2レース、次は富士なのでプッシュし続けるよ」

　42歳のドイツ人はさらにこう付け加えた。「今年は夢のようなシーズンのスタートだった。スパではラッキーだったし、5位でフィニッシュするはずだった瞬間もあったが、なんとか2位でレースを終えることができた」

「ル・マンではクルマのパフォーマンスとしてはそこそこだった。そこでは明らかに勝つための力を持っていなかった。ライバルと戦うために必要なトップスピードが充分になかったんだ」

「（通常の）WECのレースでは、戦略とオペレーションを駆使してベストを尽くし、今日までいい走りができていた。ペナルティは避けられたかもしれないが、それによって順位を失ってしまった」

「これほどうまくいかなかったレースは今年初めてだ」

[オートスポーツweb 2024年09月02日]