『予告40-40』で達成したカンセコ、奇跡の同日達成の大谷翔平、野手専念だからこそ実現したのでは

AI要約

大谷選手が史上最速で40本塁打―40盗塁を初の同日達成したエピソードについて。

親子でスピード&パワーを象徴するMLB選手の例について。

40―40を記録してもMVP獲得が保証されるわけではないが、大谷選手が新たな記録を打ち立てれば指名打者史上初のMVP獲得も可能性がある。

『予告40-40』で達成したカンセコ、奇跡の同日達成の大谷翔平、野手専念だからこそ実現したのでは

◇AKI猪瀬コラム「MLBへの扉」

 大谷選手が史上最速で40本塁打―40盗塁を初の同日達成。1988年にMLB初の40―40を達成したのが、オークランド・アスレチックスのホセ・カンセコです。

 そのカンセコはシーズン開幕直後の4月に「今シーズンは、40本塁打と40盗塁を目指す」と宣言。4月に月間8本塁打、8盗塁を記録し、前半戦で24本塁打、22盗塁をマークしました。その後も本塁打と盗塁を順調に伸ばしたカンセコは、9月18日、150試合目に40本塁打を記録。154試合目の9月23日に40盗塁を記録し、MLB史上初となる40―40を達成しました。

 カンセコは、40―40を狙うと公言してプレーしていたので、本塁打数と盗塁数が同じようなペースで推移。大谷選手の同日達成の快挙を除けば、40本塁打と40盗塁の達成日と試合数の間隔が最も近い記録になります。最速記録を破られたソリアーノは、8月19日に40本塁打、9月16日に40盗塁を記録。大谷選手は公言こそしませんでしたが、野手に専念する今季はカンセコ同様に40―40を狙っていたはずなので奇跡の同日達成が実現したのだと思います。

 また、MLBには「スピード&パワー」を象徴する親子もいます。1973年に39本塁打、43盗塁を記録したジャイアンツのボビー・ボンズ。40―40に史上初めて限りなく近づき、その息子バリー・ボンズは96年に史上2人目となる40―40を達成しました。ボビー・ボンズは、当時史上最多となるシーズン30本塁打、30盗塁を5回達成。そして、元祖スピード&パワーのウィリー・メイズ以来となる通算300本塁打、300盗塁を記録しました。息子ボンズも父が記録した30―30を5回、もちろん通算300本塁打、300盗塁もクリアしています。

 ただ40―40を記録してMVPを獲得したのは88年のカンセコと23年のブレーブス・アクーニャの2人だけ。この偉業がMVPの”約束手形”になるわけではありません。同時にこれまで指名打者がMVPを獲得したことがないのです。

 ただ、大谷選手がさらに数字を積み上げ45―45、50―50を達成できるのであれば、指名打者史上初となるMVPが確実になるでしょう。(写真はAP)