パリ五輪開幕!トライアスロン日本代表3選手に聞いた見どころやポイント、意気込み/加藤友里恵

AI要約

パリオリンピックが開幕し、トライアスロン競技の代表選手の意気込みやコースポイントについて紹介。

女子代表の高橋侑子選手は石畳やスイムの位置取りがポイントと語る。男子代表の小田倉真選手は泳力差や石畳での体力消耗が重要だと語る。エースのニナー賢治選手はメダル獲得を目指し、自信を持って臨む姿勢を示す。

トライアスロン競技の選手は過酷な練習を通じて成長し、直向きにトレーニングに取り組む。結果だけでなく、経験や自己成長も大切にする競技である。

パリ五輪開幕!トライアスロン日本代表3選手に聞いた見どころやポイント、意気込み/加藤友里恵

 いよいよパリオリンピック(五輪)が開幕します。

 東京五輪から早3年。

 いつも以上にあっという間にオリンピックイヤーです。

 今回はトライアスロン競技日本代表として戦う3選手に、それぞれ感じるレースの見どころやポイント、意気込みを伺いました。

 3選手共に、東京五輪に続いて2度目の出場です。

 ■高橋侑子「石畳がポイント」

 まずは日本女子代表の高橋侑子選手です。

 今大会では唯一の女子代表となります。

 女子は近年、スイムの位置取りがレース展開を左右する大きなポイントとなっています。

 <高橋選手>

 「今回のコースは、スイムの川の流れ、スイムからバイクの切り替え(スイムからトランジションまでの階段)、バイクは石畳とコース幅が広いので位置取りが重要となってくるでしょう。ランも石畳がポイントになってくるかと思います。

 勝負どころはランになってくるかと思いますが、個人的にはスイムからバイクへの流れが一番大事になってくると思います。

 とにかく最後まで出し切って、悔いなく笑顔で終わりたいです」

 高橋選手は小学生の頃からトライアスロンをはじめ、ジュニア、U23、エリートと経験を積んできました。日本トライアスロン界で1番長くトップを牽引している選手です。

 高橋選手の方が私より年下ではありますが、現役時代は経験豊富な彼女にたくさん助けてもらいました。良い思いも辛い思いもしてきたことを知っているので、誰よりも肉体的にも精神的にも強いと思います。今までやってきたこと、培ってきたこと、全ての思いをレースで出し切ってほしいと願います。

 ■小田倉真「泳力差が出やすい」

 男子は2名の出場です。日本男子はここ数年で一気に層が厚くなりました。その中でエースとなったニナー賢治選手と、安定感のある小田倉真選手が代表入りをしました。

 まずは小田倉選手。

 「僕が思うコースポイントは、スイムはセーヌ川で行きは流れに乗って、帰りは流れに逆らって泳ぐため、泳力差が出やすいコースかと思います。

 バイク、ランは全体的にフラットなコースで寒すぎず、暑すぎずちょうど良い気温の環境下なので、速いスピードで展開されていきそうです。

 勝負どころは、スイムをどの位置で上がってバイクに移るのかと、ランスタート時に第一集団にいることが勝負になるかと思います。

 今までやってきたことをしっかり発揮出来るように頑張りたいと思います。

 そして、僕は世界の強豪選手たちと比べると小柄です。この小さい体格でどんなレースをして、どの順位を取ってくるのかを見てほしいです」

 速い選手はもちろんですが、今大会の特徴でもある川の流れに対応し、石畳で体力や精神力も削られるので精神的にタフな選手が有利なコースレイアウトです。小田倉選手はどんな展開でも、どんなコースでも、最後のランをしっかり走る選手ですので、最後まで諦めない、粘り抜く力、大和魂を期待しています。

 ■ニナー賢治「キャリア最高の状態」

 最後に、ニナー賢治選手。

 「パリオリンピックに向けての準備は順調に進んでいます。

 フォン・ロムーの合宿では、人生でこれまでに経験した中で最も多くのランニングをした週がありました。水泳、自転車、ランニングのすべてにおいて、キャリアの中で最高の状態にあると強く信じています。

 僕はパリ五輪でメダル獲得を目指します。スタートラインには、表彰台に立つ可能性がある、ライバルになりそうな選手は10名ほどいます。夢を実現するために、全力を尽くします。

 コースの重要なポイントは、水泳で前のパックに入ること、自転車で自分を温存すること、そして最終ラップでの追い込みを含め、できるだけイーブンペースで走ることです。

 強みは、決意と精神ですので、ぜひ僕の覚悟を決めたレースをみてほしいです」

 2021年にオーストラリアから国籍を変更したニナー選手。(お母様が日本人)はじめの頃は周囲の期待と裏腹に結果が出ない大会が続き、涙する姿も見ていました。そんな彼が今、日本のエースとして成長し、パリ五輪でメダルを目指します。ぜひ注目してください。

 ■パリの観光地を駆け巡る種目

 3選手共、それぞれこれまで努力してきたストーリーがあります。

 トライアスロン競技はトップを極めるという点においては過酷なスポーツだと思います。

 練習のボリュームもあるし、フィジカル、体力的にも強化するのはもちろんですが、3種目に対応する臨機応変さも必要です。良いこともそうでないことも、経験が成長させてくれる競技でもあります。

 トライアスロンのトップ選手たちは常に直向きにトレーニングをし、肉体・精神面を磨きます。正直、トレーニングはきついですが、その分たくさんの経験が積め、自己成長ができる魅力的なスポーツでもあります。

 結果が全てと言われる世界ではありますが、私個人としては、選手たちには今、この瞬間はかけがえのない時間なので思い切り楽しんで、パリの街並みを駆け抜けてほしいです。

 観光地を駆け巡るトライアスロン競技。そんな種目は他にはないです。

 ぜひみんなで応援しましょう!

 (加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン日本代表)

 (ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「トライアスロン カトちゃんのここだけの話」)