「テンさんの指が…」五輪直前にセッター竹下佳江が骨折…リベロ佐野優子が語る“12年前の銅メダル秘話”「最強女子バレーを支えた小さな2人」

AI要約

バレーボール女子日本代表がパリ五輪出場権を懸ける準優勝を果たし、12年ぶりのメダル獲得が期待されている。

リベロの重要性と選手選考についての話題。過去のリベロ選手佐野優子氏のロンドン五輪での活躍を振り返る。

現在の女子代表メンバーについての分析と、選手たちの成長や可能性に期待が寄せられている。

「テンさんの指が…」五輪直前にセッター竹下佳江が骨折…リベロ佐野優子が語る“12年前の銅メダル秘話”「最強女子バレーを支えた小さな2人」

 パリ五輪出場権を懸けた6月のネーションズリーグで準優勝を果たしたバレーボール女子日本代表。本大会では12年ぶりとなるメダル獲得が期待されている。当時のメンバーで「スーパーリベロ」と絶大な信頼を集めた佐野優子氏にロンドン五輪の記憶を振り返ってもらった。【NumberWebインタビュー全3回の1回目/第2回、3回も公開中】

 注目されたパリ五輪のメンバー選考。バレーボール女子日本代表の眞鍋政義監督は、メンバー12人の中に小島満菜美、福留慧美という2人のリベロを選出した。しかも13人目の交代選手にも、献身的にチームを支えてきたリベロの山岸あかねを選んだ。

 一方の男子日本代表では、山本智大と小川智大、2人のリベロの1枠を巡るハイレベルな争いが注目を集めた。

 世界トップを目指す上で、リベロというポジションがいかに重要かということの証でもあるだろう。

 2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した女子日本代表にも世界一のリベロがいた。佐野優子である。

 イギリスはバレーボールが盛んな国ではない。しかし12年前、ロンドン五輪のバレー会場だったアールズ・コートは熱狂に包まれていた。

 おそらく初めてバレーを観る観客もいただろう。そんな人々の目に日本代表のバレーは曲芸のように映ったかもしれない。普通なら落ちるボールが、落ちない。驚異の瞬発力と技術、連携、そして諦めない心でボールがつながる。その守備の要がリベロの佐野だった。

 身長2m近い大型選手の重量感あふれるスパイクを、159cmの小さな守護神が衝撃音とともに受け止め、チャンスにつなげるたび会場はどよめいた。佐野の周辺にボールが行けばまず落ちない。サーブレシーブは佐野が1人でコートのほぼ半分をカバーしていた。

 そんなスーパーリベロは2015年に現役を引退し、今は京都を拠点にしている。

 インタビューさせてもらったのはネーションズリーグ中で、まだパリ五輪の内定選手12名が発表される前だったが、眞鍋監督の(サーブレシーブで小島、ディグで福留を使う)起用法を見て「五輪でもリベロ2人の構想もあるのかも」と話していた。

「2人がサーブレシーブとディグで半々で出るというのは、リズムがつかみにくいし難しいと思うけど、うまく機能している感じがします。精度高く、本当に集中して頑張っているなと感じますね」

 小島も福留もディグのほうが得意なタイプというイメージがあったが、小島については今年印象が変わったと言う。

「サーブレシーブが安定していますね。以前は海外勢の、日本では経験できない強いサーブにちょっと苦戦して、苦手意識があったのかもしれないけど、慣れて克服したんでしょうね。それに、いいキャラというか、チームをまとめる中心的な、重要な役割も果たしていると思います」

 福留については、「ディグのポジショニングがすごくよくて、確実に上げられていますね。いい読みを持っている選手だと思う。でもディグだけの役割になるから、さらにガツガツ行ったら、もっと上げられそうな印象はあります。たぶん今の守備範囲で安定しているし、ムダな動きがないのはすごくいいことだけど、その安定している範囲を、彼女ならもうちょっと広げられそうな感じはします」とさらなる可能性に期待を込めていた。