谷亮子「眠れない夜もありました」五輪出場5回の偉業達成し常に注目を集める裏で「大会ごとに200通りの戦術を用意して」

AI要約

谷亮子さんは大会ごとに200通りもの戦術を用意していた。新しい技を取り入れて臨むため、常にアイデアを出し続ける必要があった。

30人からなるチームYAWARAを結成し、自身が練習メニューを考案。試合中にはチームメンバーが応援席からアドバイスを送っていた。

試合中は柔道の技の名前や組み手が世界共通であり、数字を使ってアドバイスを受けていた。

谷亮子「眠れない夜もありました」五輪出場5回の偉業達成し常に注目を集める裏で「大会ごとに200通りの戦術を用意して」

「長い夜もありました」と語る谷亮子さん。オリンピック金メダル2度、世界柔道選手権で7度優勝してきましたが、10代から注目され続ける中で何を思っていたのか。(全5回中の5回)

■戦術は大会ごとに200通りも

── 今まで数々の大会で優勝や金メダルを獲得されてきました。世界中から谷さんに注目が集まり、各選手が谷さんの技を研究されているなか、試合とどのように毎回向き合ってきましたか?

谷さん:おっしゃる通り、大会で使った技は次までに研究され尽くします。前回の技を同じ状態まで仕上げても全然通用しないんです。だから毎回、新しい技を取り入れて大会に望みました。この展開になったら内股からかけるとか。背負い投げにするとか。組み手もいろいろあるので、すべての組み手を組み合わせるとひとつの大会で毎回、新しい戦術を200通りくらい用意していたと思います。

── 毎回新たに200通りとは、かなりすごそうです!

谷さん:私のひとつの強みは戦い方をいくつも持っていたこと。それが世界の舞台で長く立ち続けることができた理由だと思っています。たしかに大変と言えば大変でしたが、次から次へアイデアが浮かんでくるので、新しい技を作っていくのは新鮮だったんですよ。この技がかかるんだ、これ効くんだ!って練習中に実感できると、より成長を感じられましたし。

── しかし、試合中はものすごい緊迫感かつ、かなりのスピードで戦っているかと思います。200通りのうちどの戦術を使うか、すぐに判断できるのでしょうか?

谷さん:全日本の監督、コーチとは、試合のときと、年4回実施する強化合宿でしかお会いしないので、基本的には自分が所属するトヨタ自動車で戦術などを練習することになります。そこで、20名からなるチームYAWARAを結成し、私自身が練習メニューを考案し、実践してきました。試合中はチームYAWARAのメンバーが応援席から戦術のアドバイスを送っていました。ちなみに初めてお話ししますが、柔道の技の名前や組み手は世界共通。背負い投げは「seoi-nage」です。なので、試合中は、背負い投げは10番「10番~!」と数字を盛り込んで言ってもっていました。