インタビュー 〝歩くスーパー店員〟浜西諒、パリ五輪「金」の誓い 陸上男子20キロ競歩代表、仕事の前後1時間ずつ練習、2月日本選手権2位でパリ切符

AI要約

競歩選手の浜西諒がパリ五輪に初出場する思いや経歴について語った。

競歩での実績や道のり、サンベルクスでの働き方などが紹介された。

日本代表としての意気込みや目標が述べられ、パリ五輪への期待が高まる。

インタビュー 〝歩くスーパー店員〟浜西諒、パリ五輪「金」の誓い 陸上男子20キロ競歩代表、仕事の前後1時間ずつ練習、2月日本選手権2位でパリ切符

陸上の男子20キロ競歩でパリ五輪代表の浜西諒(24)=サンベルクス=が初出場となる大舞台への思いを語った。日本競歩界のトップ選手は明大卒業後に千葉、埼玉、東京でスーパーマーケット計48店舗を展開する株式会社サンベルクスに就職。青果担当として働きながら、競技との両立を実現させている。夢の舞台にたどり着くまでの道のりを聞いた。(取材構成・高橋朝香)

〝歩くスーパー店員〟がパリ五輪に挑む。日本勢のメダル獲得が期待される男子20キロ競歩は陸上最初の種目として、8月1日午前7時30分(日本時間午後2時30分)に号砲が鳴る。初出場の浜西が心境を語った。

「五輪は誰もが憧れる舞台。今までやってきた集大成として挑みたい」

パリへの切符を懸けた今年2月の日本選手権で2位。五輪参加標準記録も突破して代表をつかんだ。武器はスピードで、5月に5000メートル競歩の日本新記録を出すなど、期待大の24歳だ。

大阪・豊中市出身。熱狂的な虎党で小学校では野球に没頭。当時の夢は「甲子園に出ること」だった。体力作りの一環で同市立第四中の陸上部に入り、学外での野球と両立していたが、中2の秋から、「陸上でタイムが縮まるうれしさや、駅伝でたすきをつなぐ楽しさを知った」と陸上一本に絞った。

推薦入学した履正社高は、長距離のレベルが高く、同期10人中8番手だった浜西は試合に出られなかった。監督に「競歩をやってみるか」と言われ、高1の5月から競歩に挑戦。初めは〝歩く〟ことに苦戦したが、約半年後の20歳以下日本選手権で全体10位(高1でトップ)に入った。「競歩一本の方が成績も出るのでは」と、競歩に専念することになった。

明大でメキメキと力をつけた。一方で食べ物を消化できず、練習で吐くなどした経験から、食品業界に興味を持ち、卒業後の23年にサンベルクスに入社した。

支援選手という肩書だが、実際に埼玉・草加市内の「スーパーベルクス」で店員として働いている。昨年は週4日勤務のうち、2日は午前8時から午後5時までのフルタイムで働いた。毎朝5時30分から1時間練習し、8時に勤務を開始。青果担当として、野菜や果物の品出しや袋詰めなどを行い、午後5時に業務終了。6時から約1時間歩くのが一日の流れだ。練習時間は限られるが、「時間の大切さを実感している。練習の質も上がった」と満足。「必要不可欠な栄養素の野菜や果物の知識を得られる」と利点もあった。現在は、買い物客に目利きを求められることもあり、「少しずつ身についている」と笑う。

男子20キロ代表は東京五輪銀メダルの池田向希(旭化成)、古賀友太(大塚製薬)、浜西の3人。エッフェル塔前のイエナ橋発着でパリの名所をめぐるレースを前に、「楽しみつつ、日本代表として出場させていただく以上、金メダルが目標」と誓った。〝日本最速のスーパー店員〟が、花の都を華麗に歩く。