北朝鮮、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗と発表 発射から数分で爆発か

AI要約

北朝鮮が新型ロケットを使って軍事偵察衛星を打ち上げたが、1段目で爆発し失敗した。

過去の衛星打ち上げ失敗を振り返りつつ、今回のロケットの特徴や海上保安庁への通報について紹介された。

防衛省は北朝鮮が弾道ミサイル技術を使用しての発射を確認し、衝撃はないとしているが、詳細分析が続けられている。

北朝鮮、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗と発表 発射から数分で爆発か

朝鮮中央通信は2024年5月27日付で、北朝鮮の国家航空宇宙技術総局の発表として、軍事偵察衛星「マンリギョン(万里鏡)1-1号」を搭載した新型ロケットの打ち上げに失敗したと報じました。【最終更新:2024年5月28日11時台】

発表によると、衛星を搭載したロケットは2024年5月27日に北朝鮮の西海(ソヘ)衛星発射場から発射されたものの、1段目の飛行中に爆発して打ち上げは失敗しました。事故の原因は「新しく開発した液体酸素+石油エンジンの作動の信頼性」にあると初歩的な結論が下されており、原因になり得る他の問題点も審議されると報じられています。

今回の打ち上げに先立ち、北朝鮮は日本時間2024年5月27日0時~2024年6月4日0時の間に人工衛星の打ち上げを行うと海上保安庁に対して通報しており、黄海と太平洋のルソン島(フィリピン)東方に予告落下区域が設定されていました。北朝鮮が衛星の打ち上げ期間を予告したのは2024年に入ってからは今回が初めてでした。

北朝鮮は衛星打ち上げにともなう海上保安庁への通報を2023年は5月・8月・11月に合計3回行っていて、軍事偵察衛星を搭載した「チョンリマ(千里馬)1型」ロケットの打ち上げがその都度実施されました。1回目(5月31日)は2段目エンジンの異常、2回目(8月24日)は3段目飛行中の非常爆発システムの誤作動によって失敗したものの、3回目(11月22日)の実施後には軍事偵察衛星「マンリギョン1号」の打ち上げに成功したと発表されています。

今回打ち上げられたロケットについて朝鮮中央通信は「新型衛星キャリア・ロケット」と報じており、またロケット1段目の推進剤もチョンリマ1型の1段目で推定されているもの(非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素)とは異なることから、2023年に相次いで打ち上げられたチョンリマ1型とは別の衛星打ち上げ用ロケットが開発・使用された可能性があります。

今回の打ち上げを受けて日本国内では日本時間2024年5月27日22時46分にJアラート(全国瞬時警報システム)で「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます」とする政府発表が配信され、沖縄県を対象に建物内や地下への避難が一時呼びかけられましたが、17分後の同日23時3分に「先程のミサイルは、我が国には飛来しないものとみられます」として避難の呼びかけが解除されました。

防衛省の発表によると、北朝鮮北西部沿岸地域東倉里(トンチャンリ)地区から日本時間2024年5月27日22時43分頃に「衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射」が行われたものの、発射数分後に黄海上空で消失し、宇宙空間に何らかの物体は投入されていないと推定されています。詳細については日米韓において現在分析中だということです。

Source

朝鮮中央通信 – 軍事偵察衛星打ち上げの際、事故発生 朝鮮中央通信社報道

防衛省 – 北朝鮮の衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射について