ボーイング新型宇宙船「スターライナー」無人で帰還へ クルーは別の宇宙船で帰還予定

AI要約

NASAはBoeingの新型宇宙船Starlinerによる有人宇宙飛行ミッションCFTの一環として、ISSに滞在している2名の宇宙飛行士を地球に帰還させない決定を発表。

StarlinerはCommercial Crew Programの一環として開発された有人宇宙船で、CFTミッションは最終段階の有人飛行試験として位置付けられている。

打ち上げからISS到着までの問題が発生し、安全性と性能要件が満たされていないと判断され、CFTのStarlinerを無人の状態で地球へ帰還させることが決定された。

ボーイング新型宇宙船「スターライナー」無人で帰還へ クルーは別の宇宙船で帰還予定

アメリカ航空宇宙局(NASA)はアメリカ東部夏時間2024年8月24日13時に記者会見を開き、Boeing(ボーイング)の新型宇宙船「Starliner(スターライナー)」による有人宇宙飛行ミッション「Crew Flight Test(CFT)」の一環として国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しているNASAの宇宙飛行士2名について、Starlinerでは地球に帰還させないことを決定したと発表しました。

StarlinerはSpaceX(スペースX)の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」とともにNASAのCommercial Crew Program(コマーシャルクループログラム、商業乗員輸送計画)のもとで開発がスタートした有人宇宙船です。これまでに2回の無人飛行試験が実施されており、今回のCFTミッションは開発の最終段階となる有人飛行試験の位置付けです。

アメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から日本時間2024年6月5日に打ち上げられたStarlinerは、日本時間同年6月7日にISSへドッキングすることに成功。Starlinerに搭乗していたNASAのBarry Wilmore宇宙飛行士とSunita Williams宇宙飛行士はISSに滞在している第71次長期滞在クルー7名との合流を果たしました。

当初の予定ではCFTの2名のクルーはISSに8~10日間滞在する予定でしたが、打ち上げからISS到着までの間にStarlinerのサービスモジュールに組み込まれているRCSで打ち上げ前にも確認されていたヘリウム漏れや一部のスラスターが使用できない問題が発生。CFTの帰還予定日は未定のまま延期され、宇宙と地上でのテストやデータの収集と評価、帰還時の緊急時対応計画策定といった作業が続けられていました。

その結果として、NASAは有人宇宙飛行の安全性と性能要件が満たされていないと判断し、CFTのStarlinerをクルーが搭乗しない無人の状態で地球へ帰還させる決断を下しました。Starlinerの帰還は2024年9月上旬の予定です。NASA宇宙運用ミッション総局(Space Operations Mission Directorate)のKen Bowersox副局長はプレスリリースを通じて「このような決定は決して容易なことではないが、NASAとBoeingのチームが徹底的な分析と透明性のある議論を行い、CFTミッション中の安全にフォーカスしたことを称賛したい」とコメントしています。