ノロノロ血流で脳梗塞・心筋梗塞に ~若年層でも増加、食生活の乱れ原因~

AI要約

脳梗塞や心筋梗塞は高齢者だけでなく、30~40代でも増加傾向にあり、偏った食生活が原因の一つとして指摘されている。

ノロノロ血流により血液がドロドロになり、血栓ができやすくなるため、血管内皮の機能を調べるFMD検査が、早期の予防や治療に有効だとされている。

さらに、血管年齢が増すと血管の柔軟性が失われ、血流が悪くなるため、適切な生活習慣や食事管理が健康維持に重要である。

ノロノロ血流で脳梗塞・心筋梗塞に ~若年層でも増加、食生活の乱れ原因~

 脳梗塞や心筋梗塞は以前、高齢者の病気というイメージが強かった。しかし、近年は30~40代でも増えているという。徳島大学大学院の佐田政隆教授(循環器内科学)は血管の中をスムーズに流れない「ノロノロ血流」が問題だとした上で、「偏った食生活が原因の一つだ」と警鐘を鳴らす。

 血液は速く流れると詰まることはない。血管が細くなったり、硬くなったりすると血液がドロドロになり、詰まりやすくなる。ドロドロの血液は粘稠(ねんちゅう)度が高く、血管内をゆっくりと流れる。佐田教授は「ノロノロ血流になると、血栓ができやすくなる」と話す。

 大量の汗をかいたりして水分が足りなくなると、血液が濃縮してドロドロに固まりやすくなる。生活習慣病である肥満が健康に悪いことは知られているが、外見が痩せている人でもコレステロールや中性脂肪が多いと、動脈硬化のリスクが高まる。

 悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールは血管の壁に付着する性質があり、これが増えると血液の流れを妨げる。さらに活性酸素によって酸化LDLコレステロールに変化するとマクロファージと呼ばれる白血球が異物として攻撃し、炎症を起こす。その結果、おできのようなプラークができ、血管が狭くなって血液の流れが悪くなる。

 血管年齢というものがある。「皮膚と同じで赤ちゃんの皮膚は柔らかくてすべすべしているが、年を取ると硬くなり、ゴワゴワしてくる。血管も若い時はしなやかで血液がスムーズに流れるが、加齢で血管は硬くなるとしなやかさが失われ、血液の流れは悪くなる」。血管年齢を測ることは難しくはない。佐田教授は「40代なのに70代の血管の人もいれば、逆に80代で50代の血管を保っている人もいる」と言う。

 日本血管不全学会が推奨しているのが、血管の収縮・拡張を調整する血管内皮の機能を調べるFMD検査だ。動脈硬化が引き起こすさまざまな疾患に対する早期の発見と治療に有効だ。