10kWの「熱」無電力輸送、名古屋大が開発した「ループヒートパイプ」の効果

AI要約

名古屋大学の研究チームが10キロワットの熱を無電力輸送する装置を開発した。

装置は水を蒸発させて熱を利用し、蒸気として運んで熱を輸送する。

この技術はデータセンターや電気自動車などでの熱マネジメントに活用できる。

名古屋大学のショーン・サマーズ・ニール大学院生と上野藍講師、長野方星教授らは、10キロワットの熱を無電力輸送する装置を開発した。182度Cの排熱で水を蒸発させて蒸気として運んで熱を利用する。熱輸送量は1・6倍に向上した。熱を運ぶためのエネルギーが要らない。データセンターや電気自動車(EV)などの熱マネジメントなどに提案していく。

10キロワット級のループヒートパイプ(LHP)を開発した。水が蒸発と凝縮を繰り返しながら熱を輸送する。蒸発器ではステンレス製の多孔質体に毛細管現象で水を吸わせ、熱を加えて蒸気を得る。凝縮器では蒸気を水に戻して熱を利用する。水は配管を通して蒸発器に戻す。毛細管現象で生じる圧送力が大きく、蒸気管の中で水に戻っても排水できる。

182度Cの熱源で10キロワットの熱輸送量を達成した。これは世界最大となる。熱流束は1平方センチメートル当たり30ワット。60―180度C程度の熱輸送に提案する。

オフィスなどのポンプ式の熱輸送システムはポンプの稼働に1割ほどのエネルギーがかかっていた。工場などで捨てられている200度C程度の排熱も利用できるようになる。