恐竜の巨大化と絶滅から学べること 「巨大恐竜展 2024」監修者が解説

AI要約

2024年7月13日(土)~9月13日(金)、パシフィコ横浜で「巨大恐竜展 2024」が開催されます。主な見どころはパタゴティタン・マヨルムの全身復元骨格標本で、竜脚類の進化や現代の大型動物保護についても学べます。

パタゴティタン・マヨルムは全長約37mの大型恐竜で、日本初公開の全身復元骨格標本となります。展示ではインタラクティブ展示も楽しめます。

展示では恐竜以外の巨大生物や恐竜の進化と大型化についても紹介され、生物の巨大化が生存に及ぼす影響について学ぶことができます。

恐竜の巨大化と絶滅から学べること 「巨大恐竜展 2024」監修者が解説

2024年7月13日(土)~9月13日(金)まで、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で「巨大恐竜展 2024」が開催されます。目玉となるパタゴティタン・マヨルムの全身復元骨格標本など展覧会の見どころや、大型化していった恐竜の進化、現代の大型動物を守るために私たちができることについて、本展を監修した福井県立恐竜博物館の主任研究員、関谷透氏に語っていただきます。

 恐竜の研究をしていると自己紹介すると、「一番大きな恐竜は何ですか?」と聞かれることがしばしばあります。また、筆者が勤務する福井県立恐竜博物館の展示をご案内する時や、講演などの質疑応答でも同じことを尋ねられることが多く、やはり皆さんの関心事なのだなと実感します。その答えのひとつかもしれない恐竜が今年の夏、パシフィコ横浜で開催される「巨大恐竜展 2024」(読売新聞社主催)に登場します。

 それは全長約37mのパタゴティタン・マヨルム(Patagotitan mayorum)で、アルゼンチンの前期白亜紀(約1億100万年前)の地層から発見されました。恐竜の中でも「竜脚類」という、首と尾が長くて四足歩行の大型草食恐竜に分類されます。パタゴティタンは「巨大恐竜展 2024」の目玉となる展示で、日本初公開の全身復元骨格標本です。この種の特徴である肩甲骨の2本のリッジ(線状の盛り上がり、稜)や上腕骨の突起なども再現されています。

 本展ではこのほか、竜脚類がどのように巨大化したのか、触って楽しみながら学べる体験型(インタラクティブ)展示が魅力です。このコーナーは「巨大恐竜展 2024」の第3章にあたり、大英自然史博物館の特別展「Titanosaur: Life as the Biggest Dinosaur」(ティタノサウルス類:最も大きな恐竜たちの生活)が元になっています。

「巨大恐竜展 2024」の第1章ではクジラや翼竜など恐竜以外の巨大生物を、第2章では恐竜の進化と大型化を取り上げて解説します。ところで、なぜ生物は進化するほど巨大化するのでしょうか? これは「コープの法則」と呼ばれ、アメリカで数多くの恐竜化石を発掘・研究したエドワード・D・コープが唱えた学説です。肉食動物は体が大きくなるほど筋力が強くなり、多くの獲物を捕らえることができるので生存に有利となります。草食動物も体が大きければ敵(肉食動物)を撃退できる確率が高まり、生き残ることができます。