屋久島で「命の授業」講演 動物愛護法改正前に身近な課題共有

AI要約

動物愛護活動の講演が屋久島で行われ、現行の動物愛護法の見直しや動物福祉意識について議論が展開された。

講演では、現行法の問題点や日本人の動物福祉意識の低さについて言及された。

参加者は、重要なテーマについて議論が行われることを知り、動物愛護活動を引き継ぐために取り組む姿勢を示した。

屋久島で「命の授業」講演 動物愛護法改正前に身近な課題共有

 「命の授業」講演が7月6日、屋久島町役場(小瀬田)で行われた。(屋久島経済新聞)

 講師は、動物愛護活動の一環として「命の授業」講演を全国各地で行っている参議院議員の串田誠一さん。今回は、屋久島で動物愛護活動「パウズのお家」を主宰する小野クリスティンさんの要請を受けて講演を行った。会場にはこの日、島内の動物愛護活動家、野良猫に避妊去勢手術を施し元いた所に戻す活動(TNR)の担当職員、保健所の獣医師など15人が来場した。

 串田さんによると、2019年6月に改正した現行の動物愛護法は施行後5年をめどに見直しが規定されており、来年の改正をめざして現在、「緊急一時保護制度」「飼育禁止命令」を主要テーマに検討作業が進められているという。

 現行法の問題点として挙げられるという「所有権の壁」については、2021年に東京都武蔵村山市で実際に起きた事例や2022年6月に名古屋市のコインパーキングで起きた事例を紹介した。「飼い主がペットを虐待して逮捕された場合、捜査が終われば再度虐待される可能性があっても飼い主に返さねばならない。これらの事例は、動物が所有される『モノ』であり、所有権の壁を越えて保護できる法改正が望まれている」と串田さん。

 講演後半は、動物福祉(アニマルウエルフェア)に対する日本人の意識に言及。「世界動物保護協会(WAP)が発表した2020年の動物保護指数(API)のリポートによると、日本は調査を行った50カ国の中で、最低ランクのGだった。身近な例として挙がったのは、高温のケージで飼っている学校のウサギ、実情と異なり草原で放牧している乳牛のイラスト入り牛乳パック、バタリーケージ。採卵養鶏場のバタリーケージは、ワイヤで作った金網の中に鶏を入れ連ねて飼育する方法で、アニマルウエルフェアの観点からも欧州連合(EU)では禁止しているが、日本では行っている」と話す。

 来場した女性の一人は「深刻なテーマだったが、分かりやすい内容だった。国会でも議論されていることを知り安心した。今後も(動物愛護について考える)機会を増やし、若い世代に動物愛護の活動を引き継いでもらえたら」と話していた。