兵庫県斎藤知事巡るパワハラ疑惑 守られない「公益通報者」 憤る富山のホイッスルブロワー「告発がばれる恐れあれば、不正や違法を訴える人は恐くてできなくなる」

AI要約

兵庫県の斎藤知事を巡るパワハラ、おねだり疑惑を調査する百条委員会が開かれ、知事本人への証人尋問が行われた。元幹部が告発した内容について疑惑や公益通報者保護法の問題が浮上し、元幹部が死亡したことで見直しを求める声が高まっている。

兵庫県の斎藤元彦知事は元幹部の告発に対し否定的な姿勢を見せ、公益通報者保護法の適用を認めなかった。元幹部の告発内容には一部事実も含まれていたが、不適切な処分を受けることになった。

過去に運輸業界の闇カルテルを告発した人物が、公益通報者保護法の重要性を訴えており、公益通報者の保護が不可欠であることを強調している。

兵庫県斎藤知事巡るパワハラ疑惑 守られない「公益通報者」 憤る富山のホイッスルブロワー「告発がばれる恐れあれば、不正や違法を訴える人は恐くてできなくなる」

兵庫県の斎藤知事を巡るパワハラ、おねだり疑惑を調査する百条委員会が5日開かれ、知事本人への2回目の証人尋問が行われました。齋藤知事は、告発文に書かれている疑惑の当事者が人物を特定する調査をした点について聞かれると「問題ない」と回答。告発というより誹謗中傷性の高いものを作成したと感じたので調べるのは大事だとの見解を示しました。守られるべき告発者が守られず命を落とした今回の事案について、過去に運輸業界の闇カルテルを告発した男性は「あってはならないことだ」と憤ります。

内部告発者が守られるにはー。

兵庫県の斎藤元彦知事をめぐっては、今年3月12日、県の元幹部(60)がパワハラや物品の授受についての7つの疑惑を記した文書を県議や報道機関に配布し、匿名で告発しました。これに対し会見で知事はー

兵庫県・斎藤元彦 知事:「事実無根の内容が多々含まれている。ありもしないことを縷々並べた内容で。うそ八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格です」

元幹部は、4月、県の公益通報制度を利用して疑惑を通報しました。県は、5月に告発した人物を元幹部だと特定し、「文書の革新的な部分が事実ではない」として元県幹部を停職3か月の懲戒処分としました。

その後、告発内容には一部事実も含まれていたとして、県議会が百条委員会の設置を決定。しかし、7月、百条委員会で証言する予定だった元幹部が死亡しているのが見つかりました。

告発者が死亡したことで、見直しを求める声が高まっているのが「公益通報者保護法」です。

■見直し求める声高まる「公益通報者保護法」

「公益通報」とは、労働者などが勤務先などの不正行為を、組織内の通報窓口や行政機関、報道機関に通報することです。企業の不祥事などは内部通報が発端となり明るみに出ることが多いことから、正当な行為として保護されるべきとして「公益通報者保護法」で定められています。

具体的には、公益通報したことを理由に、事業者が解雇などの不利益な取扱いをすることを禁止しているほか、通報者を探したり特定したりすることも禁じています。

兵庫県は元幹部の告発を「公益通報」と認めていませんが、8月7日に臨時で開かれた兵庫県市長会では、県が告発を「公益通報」として対応しなかったことに対し厳しい指摘が相次ぎました。

「公益通報者保護法」制定のきっかけを作った人物が富山県にいます。

■“憤る”富山のホイッスルブロワー

今から50年前に運輸業界の違法な闇カルテルを告発し、約30年にわたって会社側から「報復人事」を受けた富山県高岡市の串岡弘昭(77)さんです。串岡さんは、兵庫県の元幹部の「公益通報」を巡る問題について「あってはならないこと」と憤りを隠しません。