復興へ気持ち一つに 輪島大祭 祭りの熱気、絆生む

AI要約

23日の輪島大祭の一つである「重蔵神社夏季大祭」では、がれきの残る街をキリコと神輿が進んだ。

祭りに対する熱意が街の復興と人のつながりを支え、多くの避難者やボランティアも参加した。

朝市通りの住民は損壊した建物の中心となってキリコを展示し、復興のために祭りの継続が重要だと感じた。

復興へ気持ち一つに 輪島大祭 祭りの熱気、絆生む

  ●避難者、ボランティアも参加

 「こんな風景で担ぐのは今年だけや」。23日、輪島大祭の一つである「重蔵神社夏季大祭」では、がれきが残る街並みをキリコと神輿(みこし)が進んだ。神社は本殿や鳥居が壊れ、周囲の街並みも壊れたまま。関係者には迷いもあったが、祭りに対する熱意が上回った。河井町には市外に避難した住民やボランティアも駆け付け、復興へ気持ちを高めた。

 平野眞人氏子総代会長によると、今年の夏季大祭にはキリコ9基が巡行に参加し、4基が展示された。20基以上の例年より少ないものの、平野さんは「こんなに参加してくれると思わんかった。最高や」と喜んだ。9基は、近くに仮設住宅が建ち並ぶ輪島キリコ会館に集結し、乱舞した。

 氏子は中止や縮小について議論を重ねたが、何とか実施にこぎつけた。禰宜(ねぎ)の能門亜由子さん(48)は祭りには鎮魂の意味も込められているとし、「祭りを開催しないと町の元気がなくなり、人のつながりも寂れてしまう」と思いを語った。

 自分の町でキリコを展示した住民も、葛藤の末に祭りの日を迎えた。

 朝市通り周辺の通称「本町」の有志は、地震と大火で多くの住民が犠牲となったことに配慮し、重蔵神社へは巡行しなかった。それでも、朝市通りに並べたキリコの周囲には老若男女約30人が集まり、建物の公費解体が進む通りを元気よく練った。

 酒造店の5代目で、店が損壊したため金沢と輪島の2拠点生活を送る区長の日吉智(あきら)さん(50)は「やって良かった。もし中止したら再開がより大変になる。祭りで町の人のつながりを残すのは、復興のために大切だ」とキリコを見つめた。

 「えーやとこやっせ、やっせ」。威勢よくキリコを担いだ住民は、輪島高生9人が中心となって資金を集めて準備した「復興花火」を見上げ、祭りを締めくくった。