「核兵器なくす声広げて」 平和の歴史展で第五福竜丸学芸員が講演、和歌山県串本

AI要約

和歌山県串本町で開催された「平和の歴史展」が、被爆漁船「第五福竜丸」の被害や世界の核実験についての講演や展示を通じて核兵器廃絶の必要性を訴えた。

被ばくした第五福竜丸の歴史や水爆実験の愚かさ、現在も補償を求める運動などが紹介され、展示館での保存展示の経緯も紹介された。

訪れた市民は核実験の影響を再認識し、核兵器廃絶のために情報共有や啓発活動の重要性を感じた。

「核兵器なくす声広げて」 平和の歴史展で第五福竜丸学芸員が講演、和歌山県串本

 和歌山県串本町串本の町文化センターで6~11日、「平和の歴史展」があった。11日には、東京都立第五福竜丸展示館(江東区)学芸員の安田和也さんによる講演があり、太平洋のビキニ環礁でアメリカが実施した水爆実験で被ばくした漁船「第五福竜丸」のことや、世界の核実験とその被害などについて伝えた。

 第五福竜丸建造の地平和の歴史展実行委員会が主催。町教育委員会後援。第五福竜丸は旧古座町(現串本町)で1947年に建造。54年に水爆実験で被ばくしてから今年で70年。歴史展では、核実験の愚かさを改めて認識してもらおうと講演のほかにも映画上映や展示をした。

 安田さんは第五福竜丸が被ばくした当時の新聞記事や写真を紹介しながら、乗組員や周辺の被害を説明。その後、船は水産大学の練習船となった後に、廃船処分で人工島・夢の島に放置された。しかし、住民らの保存運動により、約9年の時間をかけ、現在の展示館の完成、保存展示に至ったと話した。

 世界の核実験や被害についても触れ、現在も補償を求める運動や裁判が各国で続いていると伝えた。

 最後に安田さんは「私たちは考え、たくさんの人と話し合い、伝えていく。そういうことを繰り返していく中で核兵器をなくす声をもっと広げていくことが必要」と訴えた。

 新宮市から夫婦で訪れた女性(67)は「核実験が一般市民にもすごい影響があったと改めて知ることができたと同時に、とてもショックを受けた」と話した。