【県職員官製談合】再発防止徹底を(8月10日)

AI要約

福島空港事務所発注工事に関する一般競争入札で、官製談合防止法違反、公契約関係競争入札妨害の罪で2人の職員が起訴された。

県が再発防止策を強化し、職員の法令順守意識の向上を図る必要がある。

不祥事により、業務全般の点検、見直しの必要性が問われている。

 県福島空港事務所発注工事に関する一般競争入札で、官製談合防止法違反、公契約関係競争入札妨害の罪で事務所職員2人がそれぞれ在宅起訴、略式起訴された。県発注公共工事の入札を巡って県土木部の職員が起訴されたのは昨年6月以来となる。県政への信頼が損なわれないよう、県職員の法令順守意識を一層高め、再発防止を徹底する必要がある。

 県によると、在宅起訴された職員は業者と付き合いが長く、設計金額を漏らした理由については「工事が予定の工期内に終わるか心配で、空港の勝手を知る業者に落札してもらうのが良いと考え、業者の申し出に対して、つい漏らしてしまった」と話しているという。たとえ業務遂行への責任感があったとしても、不適切な行為は見過ごせない。再発防止と信頼確保に向けては規範意識と併せ、業務全般の点検、見直しも必要ではないか。

 別の職員は、業者に入札参加業者名を伝えたとして略式起訴された。両職員は共に、見返りは得ていないとしている。起訴状通りの便宜を図ったとするなら、背景に何があるのか。担当職員と利害当事者との適切な関係の在り方も改めて問われる。

 近年、県職員の不祥事が相次いでいる。県は再発防止策として昨年夏から、法令順守に関する事項をまとめた名刺サイズのハンドブックを職員に常時携帯させている。中では失業など不祥事による影響の大きさにも触れている。さらに、利害関係者の定義や禁止行為などのポイントをリーフレットにして配布し、ルールへの理解を深めさせた。

 入札業務についても、関係するシステムのアクセス履歴が確認できることを職員に周知し、不正は発覚するとの意識付けをしている。年末には、懲戒処分の基準を厳格化した。懲戒処分をした場合は対象者の所属や身分などをホームページで公表している。

 土木部では、各部署で以前から基本的に半年に1度の頻度で職員の研修や個別面談を行ってきた。職員が業者と直接接触できない職場環境づくりも進めている。実施状況は入札制度等監視委員会に報告して検証を受ける仕組みになっている。委員側もより厳格な姿勢でチェックに臨むよう求めたい。(渡部総一郎)