「南海トラフ地震臨時情報」の警告 宮崎・日向灘地震受け 神奈川西部地震との関連は?

AI要約

8月8日夕方、宮崎県日向灘で最大震度6弱の地震が発生、地震の規模を示すマグニチュードは暫定値で7.1。気象庁が南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」を発表。

南海トラフ地震について政府が警戒を呼びかける中、その想定震源域や過去の歴史についても言及。

日本各地での地震活動が続く中、過去の災害や最近の活動から地震への備えが重要であることが示唆されている。

「南海トラフ地震臨時情報」の警告 宮崎・日向灘地震受け 神奈川西部地震との関連は?

 8月8日夕方、宮崎県日向灘で最大震度6弱の地震が発生、地震の規模を示すマグニチュード(M)は、暫定値で7.1。 気象庁は今後1週間以内に大規模地震が発生する可能性が平時より高まっているとして、南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」を発表した。2019年の運用開始後初となる。

 地震に連動して、別の巨大地震が起きる可能性が平常より高まっているとしている。

 政府の地震調査研究推進本部は、南海トラフでM8~9クラスの地震が発生する確率を、30年以内に70~80%としている。内閣府の中央防災会議は、死者を最大で32万3000人と想定している。

 私たちは こうした事象をどう受け止めるべきか、「はりま地盤・地震研究会」を主宰する西影裕一さんに聞いた。西影さんは日本地震学会・元会員で兵庫県姫路市在住。兵庫県西部から岡山県を貫く山崎断層の研究にも長く携わっている。

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 今回の日向灘地震で、近畿では揺れを直接感じることがなかったが、南海トラフ巨大地震に対しての警告になった。 南海トラフ地震については、684年の「白鳳地震」以来、判明しているだけで古文書に9回記録がある。想定震源域は、 静岡県から四国南、九州の太平洋沖の約500キロメートルとされ、100~200年ほどの間隔で、繰り返し起きている。

 政府の地震調査研究推進本部によると、近年では、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年)がこれに当たる。

 被害想定は、南海トラフの想定震源域が一気にずれる「全割れ」と、想定震源域の片方でM8以上の地震が発生する「半割れ」というケースもある。この場合、残りの領域で大規模地震が発生する可能性が高く、「半割れ」も2年後に起きたケースもあれば、32時間後に起きたケースもあった。

 今回は宮崎県という、南海トラフの西端付近で起きた地震だったため、そこから東側の四国沖~静岡県沖までのエリアが誘発される可能性もある。

 1月1日、最大震度7(M7.6)を観測した石川県・能登半島では2000年頃から、大きくはないが頻繁に地震が起きていた。これを「群発地震」と呼ぶが、一昨年(2021年)6月19日に最大震度6弱、M5.4の地震が起きた。さらに昨年(2022年)5月5日には最大震度6強、M6.5という大規模地震が起きていた。

 阪神・淡路大震災からまもなく30年。地震への心構えが十分だと思っていても、いざという時に対応できるのか考えねばならない。「自然災害はいつ起きるかわからない」という意識を持つことが大切だ。

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 なお、9日夜に発生した神奈川県西部の地震は、8日発生の日向灘の地震と同じく、フィリピン海プレートが潜り込むことによることによって発生したと考えられる。

 ただし、日向灘の地震はユーラシアプレートに潜り込んでいるのに対し、神奈川県西部の地震は北米プレートに潜り込んでいると考えられる。

 2つの地震は、ともにフィリピン海プレートで発生しているが、潜り込でいるプレートが異なり、距離が大きく離れているため、日向灘の地震に誘発されたのではないと考えられれる。

 ただ、神奈川県西部の地震の震源は101年前に発生した関東大震災の震源に近い。いずれその関連が明らかになると思われるので、注視したい。