文芸誌『群像』で新人文学賞 気鋭の大学生作家・豊永浩平

AI要約

沖縄の金言「月ぬ走いや、馬ぬ走い」という言葉をタイトルにした小説『月ぬ走いや、馬ぬ走い』について、現役大学生の豊永浩平さんが作品に込めた思いや理想とする作家像について紹介されている。

小説は沖縄の戦中・戦後史を10人以上の視点から描き出しており、異なる文体表現や視点の多様さが注目されている。

21歳の豊永浩平さんは現役大学生で、新人文学賞を受賞したことから、卒論の執筆や小説の執筆活動に励んでいる様子が描かれている。

文芸誌『群像』で新人文学賞 気鋭の大学生作家・豊永浩平

「月ぬ走いや、馬ぬ走い」(ちちぬはいや、うんまぬはい)

馬さながらに歳月は駆け抜けてしまうので、時を大切にしようという沖縄の“黄金言葉”(くがにくとぅば=金言)です。

この言葉を小説のタイトルにしたのは、沖縄県出身の現役大学生、豊永浩平さん。作品に込める思い、そして理想とする作家像を聞きました。

▽編集者・新城和博さん

「すごいなと思った1つは、タイトルにウチナーグチを付けるって、結構勇気がいるんです」

▽豊永浩平さん

「そうですね。やっぱり編集さんとの話し合いでは共通語の方が絶対に伝わりやすいしキャッチーで分かりやすいと言われましたが、どうしてもこれにした方がいいって思いました」

7月、那覇市の書店で開かれたトークイベント。小説『月ぬ走いや、馬ぬ走い』が出版されたのを記念して開かれました。

『月ぬ走いや、馬ぬ走い』は、旧盆の中日(ナカビー)に幼い子どもが戦争で命を落とした日本兵の亡霊と遭遇する場面から始まり、10人以上の視点からそれぞれの異なる沖縄の戦中・戦後史を描いています。

子どもの柔らかい語りから兵士の硬い語りのほか、ヒップホップのラップ表現もあるなど、さまざまな文体表現が注目を集めています。

▽トークイベントの来場者は

「彼の作品には期待しています。嬉しいです、沖縄から」

「とくに思ったのは、20代で沖縄戦だったり沖縄戦後史という長い話を書いていく人たちは多くないと思うので、頑張ってもらいたい」

「彼が(作品で)書いた希望というのは大事なテーマだと思うので、僕らの世代の希望でもあるし、今後の研究も作家としての人生も含めて希望を持っています」

この小説を執筆したのは、現役の大学生。豊永浩平さん、21歳です。

今年6月、村上春樹や村上龍など数々の有名作家を輩出した講談社の文芸誌『群像』で新人文学賞を受賞しました。2000年代生まれでの受賞は初の快挙です。

▽豊永浩平さん

「そのときから卒論の計画・構想が始まっていたので、大学もあったし、バイトもきつかったですね」

豊永さんが執筆場所として案内してくれたのは、琉球大学内の図書館。卒論の参考文献探しのかたわら、執筆活動に取り組んでいます。

「自分の小説の中にも家が3つあって、その中で3世代くらいをスパンとして扱っているんですけど、そういう時は不自然にならないように実際の資料から家系図を見て学んでみることはしました」