「これが、同じ街なのか…?」ついに渋谷駅直結を果たした“国道の向こう側” 地形すら変えた大開発4年間を定点比較

AI要約

渋谷駅周辺の大規模再開発について、過去の再開発事業と現在進行中の計画、そして駅と周辺街の統合についてまとめられています。

桜丘町の再開発事業についても触れられ、渋谷サクラステージの竣工を通して、この地域の再開発の完了が伝えられています。

再開発工事の4年間や写真家による再開発地域の記録についても触れられており、大規模再開発の様子がリアルに伝えられています。

「これが、同じ街なのか…?」ついに渋谷駅直結を果たした“国道の向こう側” 地形すら変えた大開発4年間を定点比較

 駅の再開発は全国でも見られますが、渋谷駅の場合は駅を中心にして四方の街と一体となった大規模再開発となっており、世界中のターミナル駅を見ても、ここまでの再開発は類を見ないのではと思えるほどです。

 

 渋谷駅周辺は2005(平成17)年に「都市再生緊急整備地域」に指定され、駅だけでなく周辺の区画整理事業も含み、100年に一度とも呼ばれるほどの大規模再開発事業が進行中です。

 今までの再開発事業を振り返ってみると、東急文化会館と周辺は2012(平成24)年に「渋谷ヒカリエ」、東急東横線の渋谷地上駅と周辺の街区は2018(平成30)年に「渋谷ストリーム」、東急プラザは2019年に「渋谷フクラス」、渋谷地上駅も同年に「渋谷スクランブルスクエア東棟」へと、駅と直結する既存の施設が解体され、区画整理を行って次々とビルが竣工していきました。

 その一方、駅の南西に位置する桜丘町は、国道246号ならびに首都高速3号渋谷線によって分断され、駅から直結する街ではなかったこともあり、再開発事業から残されていました。

 桜丘町は商業地域と住居がミックスされた街です。駅に近い街区は国道246号とJR山手線に面して中小のビルが寄り添い、西側は台地がせり上がる地形により、桜並木の美しい「さくら坂」や、「蛇崩(じゃくずれ)」といった坂が建物のあいだをすり抜けるようにして存在し、渋谷の繁華街にしては大人しい雰囲気を醸し出しています。

 それでも2019年5月、駅に近い街区が「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」として着工。2023年11月に、4棟の複合ビルから成る「渋谷サクラステージ」が竣工しました。名称の由来は桜丘町からです。渋谷サクラステージの竣工により、渋谷駅を中心とした街の再開発は、ひととおり完成したことになります。

 同時に、JR渋谷駅でも大きな動きがありました。渋谷3丁目にあった埼京線用の新南口改札を2024年7月に移転し、渋谷サクラステージと渋谷ストリームの連絡デッキに直結させたのです。新たな新南口改札は埼京線ホームを経由せずとも山手線と相互利用ができ、今まで国道246号で分断されていた桜丘町方面へのアクセスが改善されました。

 さて、渋谷サクラステージはA、B、C街区に分かれて開発されました。A街区はオフィスと商業エリアの38階建て複合施設「SHIBUYAタワー」と、17階建ての「セントラルビル」から構成される「SHIBUYAサイド」。B街区は楕円形の低層ビル「SAKURAテラス」と、住宅やオフィスなどの入った30階建て「SAKURAタワー」から構成される「SAKURAサイド」。C街区は日本基督教団の中渋谷教会となっています。

 再開発工事はコロナ禍を挟んで4年間に及び、開発前はどんな姿をしていたかご存じない方もいらっしゃるでしょう。こういった大規模再開発の4年間というのは、記憶が曖昧になるにはじゅうぶんな月日の長さです。筆者(吉永陽一:写真作家)は桜丘町に長年縁があり、消えていく姿を残そうと、人々が去った直後の再開発地域を記録しました。

 なるべく定点撮影したものを紹介したかったのですが、起伏ある地形をならすほどの工事であったため、道路すら位置が変わっており、同じ地点となると建物内になってしまう場所もあって、厳密な定点は叶いませんでした。つまりそれほど大規模に再開発されたという証でもあります。