高さ制限緩和は「適法」、住民の訴え退ける 石神井公園駅前の再開発

AI要約

石神井公園駅南口の再開発計画をめぐる訴訟で、高層ビル建設に反対した住民らが敗訴。

再開発計画は駅前に100メートルのビルを建設するもので、地区計画の高さ制限緩和が争点となった。

裁判所は計画変更が適法と判断し、住民らが行政の合意形成を批判する声も挙がっている。

 東京都練馬区の石神井公園駅南口の再開発計画をめぐり、高層ビルが建設されると景観が損なわれるとして、住民や地権者が都を相手に、再開発事業組合の設立認可の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁(品田幸男裁判長)は29日、原告の請求を退ける判決を言い渡した。

 再開発は、駅前に地上約100メートルのビルなどを建てる計画。2011年策定の区の景観計画は、建物の高さを「石神井公園からの眺望の中で突出しないよう抑える」と規定し、これを受けた12年の地区計画は、高さ制限を「原則35メートル以下」とした。だが、その後に再開発計画が進み、区は20年に制限を緩和した。

 原告側はこの緩和が違法だったと訴えたが、判決は、地区計画の高さ制限は「土地の高度利用などの障害になった時に、緩和・撤廃を許容しないほど強い趣旨のものではない」と指摘。公園付近にはすでに100メートル規模のマンションが2棟あり、今回の計画のビルが「眺望の中で突出しているとはいえない」とも述べ、計画変更に区の裁量権の逸脱はないと判断した。

 原告の岩田紀子さん(80)は判決後の会見で「裁判で再開発の矛盾点を訴えてきて、裁判官はきちんと判断してくれると信じていたが、がっかりした。行政は、住民同士の合意形成をないがしろにしている」と話した。(米田優人)