「みつけられなくてごめんね」“消える高齢者” 登録率わずか 3パーセント 命救う捜索システムに課題が 富山
富山市の施設から行方不明になり遺体で見つかった87歳の男性のケースを取材し、警察や自治体の捜索システムの課題が浮かび上がってきました。
男性の次女が初めて父親が亡くなった現場を訪れ、悲しみと不安が混ざった思いを抱いている様子が描かれています。
男性は施設を出てから6日後に遺体で発見されました。家に帰りたいという気持ちと認知症の進行による行動制御の難しさが明かされています。
全国で認知症高齢者の行方不明が増え続けています。「消える高齢者」第10弾。富山市の施設から行方不明になり遺体で見つかった87歳の男性のケースを取材すると警察や自治体の捜索システムの課題が見えてきました。
87歳の父親は、認知症で行方不明になったまま命を落としました。次女の明美さん。
初めてその現場に向かいましたが…。
これまでどうしても父親が亡くなった現場に来ることができませんでした。
亡くなった男性の次女 明美さん「やっぱりちょっとね。詰まるものがあって」「何か寒かったろうなってこんなとこで」
亡くなった男性の次女 明美さん「こんなとこまで一人で来たんだね。何を思っていたんだろう」
片口重明(かたぐち・しげあき)さん。去年3月、富山市の高齢者施設から姿を消しました。
梶谷昌吾記者「施設から高齢者がいなくなりました。職員が捜索にあたっています」
施設職員「この戸ですね。これが普通に開いていて」
ここから外に出て行ったとみられます。
行方不明になってから6日目。
およそ20キロ離れた上市町の空き家で遺体で見つかりました。
1か月後、明美さんが初めて取材に応じてくれました。施設を出たのはこれが5回目だったといいます。
片口さんの次女 明美さん「本当に多分家に帰りたかった。家にいたかった。でも状況的に難しかったのは分かってるんですけど。本当にごめんねしか言えなくて」
【写真】片口さんが認知症を患ったのは4年前。孫と遊ぶのが大好きでした。
「これ七五三とかね」「こんな感じとかですかね。おじいちゃんも3歳とかやってる感じかな。可愛がってくれましたね」「孫といる時がやっぱり1番いい表情してるんですよ」「優しそうな何か」
しかし、その後、認知症が進み田んぼを野焼きして消防車が出動する騒ぎを起こしたのを機に、施設に入所することになりました。
■捜索システムにも“個人情報の壁”
片口さんの次女 明美さん「いつまでおらんなんがよっていうことは何回も聞かれたんですよね。分かったという状況で入ってもらってたらまた違ったのかな」