ふるさと納税 3市町村が赤字 青森県内

AI要約

総務省が公表した2023年度のふるさと納税実績を基に、青森県内40市町村の収支状況が明らかになった。

実質収支で赤字となった市町村もあり、新たな返礼品の開発などで寄付の増額を目指す動きが見られる。

一方、弘前市や五所川原市など、黒字を達成した市町村も存在し、それぞれの使途についても言及されている。

 総務省が公表した2023年度のふるさと納税実績を基に、東奥日報が寄付受け入れ額から経費などを差し引いて実質的な収支を試算した結果、青森県内40市町村のうち六ケ所、三沢、大間の3市町村が赤字となった。いずれも各種事業に影響は出ていないというものの、新たな返礼品の開発などで寄付の増額を目指す方針。実質収支で最もプラスが大きかったのは弘前市で、同市を含む9市町が1億円超の黒字となった。40市町村全体では、33億7851万円の黒字だった。

 実質収支は、各市町村が集めた寄付金額から、返礼品の調達や配送に要する経費のほか、他の自治体への寄付によって流出した住民税の額を差し引いて算出した。住民税が減った分の75%は、国が地方交付税で穴埋めすることも加味した。

 六ケ所村の実質収支は1029万1155円の赤字。財政が豊かで国から地方交付税を受けていない同村は、住民税収の落ち込みに対する補填(ほてん)がないため赤字になりやすい傾向がある。同村のエネルギー関連企業には村外からの転入者が多く、村政策推進課は「自らの出身地や、お世話になった自治体にふるさと納税をしたいという人も少なくないのでは」と、住民税が流出する背景を分析する。

 同村はふるさと納税による寄付を増やすため、23年度に返礼品をこれまでの約20品から100品超に大幅に増やした。村内企業が製作した釣り具、村産の米、シャインマスカットなどに寄付が集まるようになっているという。

 三沢市は962万3460円の赤字で、マイナス幅は六ケ所村に次いで大きかった。主力返礼品のホッキガイの漁獲量低下が響いたという。市広報広聴課の担当者は「安定供給できる返礼品の開拓が課題。米軍三沢基地内のツアーや航空祭の優先観覧券を返礼品にする案はあるが、人手不足もあり関係機関との調整がなかなか進んでいない」と話す。

 26万6274円の赤字だった大間町は、冷凍マグロの返礼品受け付けを停止したことが影響したという。

 一方、弘前市の黒字は6億1688万3437円だった。市財政課によると、ふるさと納税寄付金は一般会計自主財源の約4.7%を占める「貴重な財源」。主要施策である「健康都市弘前」の実現に向けた事業などに活用している。

 弘前市に次ぐ黒字額だった五所川原市は、市内小中学校の給食無償化に必要な経費を寄付金で賄っている。2市のほか、青森、黒石、南部、平川、三戸、鯵ケ沢、藤崎の各市町が1億円超の黒字だった。