佐賀の「ファブラボ」が10周年 デジタル工作機械備え、地元の相談に対応

AI要約

ファブラボサガは、アメリカ・マサチューセッツ工科大学教授のニール・ガーシェンフェルドさんが提唱した市民工房で、デジタル工作機械を備えている。

佐賀市に10年前にオープンし、地元のアーティストや企業と協力してさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

陣内さんは地域貢献に力を入れ、AIやスマホの相談に乗るなど、地元の人々に技術支援を行っている。

佐賀の「ファブラボ」が10周年 デジタル工作機械備え、地元の相談に対応

 さまざまなデジタル工作機械を備える工房「FabLab Saga(ファブラボサガ)」(佐賀市呉服元町、TEL 0952-97-7664)が7月5日、オープン10周年を迎えた。(佐賀経済新聞)

 ファブラボは、アメリカ・マサチューセッツ工科大学教授のニール・ガーシェンフェルドさんが2002年に提唱し始まった実験的な市民工房。3Dプリンタやレーザーカッター、ミリングマシンなどのデジタルファブリケーション機材を備え、基本理念や運営ガイドラインをまとめた「ファブラボ憲章」に基づき、一般市民に開かれ、地域に根付いた活動を行う施設で、世界120カ国以上に2000以上のラボがある。日本では2011(平成23)年に神奈川県鎌倉市に初めて開設され、国内では現在、17カ所ある。

 ファブラボサガは、陣内(じんのうち)和宏さんが2014年7月5日に開いた。陣内さんは、製造業向けのSEとして東京で会社員生活を送っていたが、2011(平成23)年の東日本大震災をきっかけに妻と子どもを佐賀に移住させ、東京と往復する生活に切り替えていた。将来のキャリアを考えていた頃、クリス・アンダーソンさんの著書「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」を読んだことがきっかけで、当時、3Dプリンタが身近になり始め、個人でも自分のアイデアを形にしていたことも見て、「佐賀にデジタル機材を使った試作の場を提供したい」と、ファブラボを開いた。

 これまでに、地元書道家の作品制作のレーザー加工や、アーティストの部品制作、新規企業のパズルゲーム制作など、さまざまなプロジェクトに協力。佐賀中心街で夏に開催する「銀天夜市」では、佐賀大学発のITベンチャーからシステム提供を受け、デジタルスタンプラリーも企画した。直近では、ファブラボのネットワークを生かして、中小製造業の社員などがIoTデバイスを活用できるようにするための人材育成するファクトリーサイエンティスト養成の講師活動も行っている。

 陣内さんは「AIが急速に身近になる中、AIデバイスの活用に関する相談を受ける一方、主にシニアからの相談が多いスマホの使い方の相談に乗るなど、これからも自分の技術を生かして、地元に貢献していきたい」と話す。

 営業時間は10時~19時。木曜・日曜定休。