「ジャポニカ学習帳」のショウワノートと提携、廃業寸前の印刷所が生んだ奇跡の「おじいちゃんのノート」

AI要約

モノづくりビジネスにおいて、オープンイノベーションが重要であるが、日本企業はまだ自前主義から抜け出せていない。

オープンイノベーションを円滑に進めるためには、自社のゴールを明確にすることが重要であり、ゴール設定には「強みを伸ばす」か「弱みを克服する」かを考慮する必要がある。

ゴール設定が不明確な場合、提携相手との戦略のすり合わせが難しくなり、オープンイノベーションがうまくいかない原因となる可能性がある。

 モノづくりビジネスにおいて、世界的に主流になりつつある「オープンイノベーション」。ところが日本企業では依然、全てを自社で行う「自前主義」から脱却できずに商機を逃すケースが多く見られる。本連載では『学びあうオープンイノベーション 新しいビジネスを導く「テクノロジー・コラボ術」』(古庄宏臣・川崎真一著/日経BP 日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集し、オープンイノベーションを円滑に進めるために心がけるべき他社との「コラボ術」について解説する。

 第6回では、小さな印刷所のSNS投稿がきっかけで大ヒット商品に化けた「おじいちゃんのノート」から、企業規模にかかわらずオープンイノベーションの機会をつかむために必要な姿勢について学ぶ。

■ 自社のゴールを明確にする

 本書ではオープンイノベーションの実施を「新しいビジネスを生み出すため」としていますが、新しいビジネスを生み出すことも、ゴールではなく手段です。大事なのは、自社はどこに向かうのか、そのゴールを示す「進化戦略」にあります。ゴールを明確にしてこそ、実施すべき新しい事業が明らかになり、そのための手段としてのオープンイノベーションが可能になります。

 第2章でも述べましたが、適切な提携相手を見出すためには「戦略のすり合わせ」が必要です。戦略が明確でなければ、すり合わせはできません。オープンイノベーションがうまくいかない要因として、一般的には「ゴールを共有化できなかった」とよく言われますが、ゴールを共有できない理由に、「そもそもゴールが明確になっていなかった」ということはないでしょうか。

 ゴール設定は企業ごとにケース バイ ケースです。ただ、方向性としては言えることがあります。それは「強みを伸ばす」のか、それとも「弱みを克服する」のかということです。

 前者は、自社の持つ強みを伸ばして新たな収益の柱を創るということです。後者は、将来を踏まえると自社には弱みが顕在化する要素があるため、新事業の開発によってその弱みを克服するということです。強みを伸ばすことで弱みを克服する、という方向性もあるでしょう。どちらも、いかにハイリスクなビジネス環境下でも、経営を安定させることを目指す試みであろうと考えます。