不安定さ永遠の時間表現…石の彫刻家・新妻実展 せきがはら人間村生活美術館

AI要約

岐阜県不破郡関ケ原町の「せきがはら人間村生活美術館」で、石の彫刻家・新妻実さんの企画展「Homage to MINORU NIIZUMA」が開催されている。

トークショーでは、参加者が石との対話から新妻作品に感銘を受ける。

新妻さんの作品だけでなく、関根伸夫さん、高松次郎さん、若林奮(いさむ)さん、李禹煥(リウファン)さんの作品も展示されている。

不安定さ永遠の時間表現…石の彫刻家・新妻実展 せきがはら人間村生活美術館

 岐阜県不破郡関ケ原町の「せきがはら人間村生活美術館」で、ニューヨークを拠点に国内外の彫刻シンポジウムをけん引した石の彫刻家・新妻実さん(1930~98年)の企画展「Homage to MINORU NIIZUMA」が開かれている。トークショーが行われ、参加者たちは“石との対話”で創り上げられた新妻作品に理解を深めた。

 1994年に関ケ原町が主催した彫刻シンポジウムの際、新妻さんは同美術館ファウンダー(創設者)の矢橋昭三郎さんと出会って意気投合、親交を深めた。美術館敷地内には、新妻作品が多数置かれ、名前を冠した庭園「ニイヅマガーデン」が整備されている。

 トークショーには、美術評論家の水沢勉さんと、新妻さんに師事した彫刻家の近持イオリさんが登壇。国立映画アーカイブ相模原分館(相模原市)や、富士見台公園(東京都八王子市)、ソフトピアジャパン(大垣市)などに残る新妻さんの石彫を中心にスライドで紹介。水沢さんは「石彫が少し傾いていて不安定さを感じる。完璧に完成させないことで、自分が死んだ後もその先の時間があるというメッセージでは」と作品に込められた思いを読み解いた。近持さんは「磨いた面と割れ肌の面を対比させており、石と石の微妙な距離感がある。この良い距離感こそ新妻さんの人生そのもの」と評した。

 美術館本館では新妻さんのほか、関根伸夫さん、高松次郎さん、若林奮(いさむ)さん、李禹煥(リウファン)さんの作品も展示している。

 企画展は12月21日まで。鑑賞には敷地内を巡るアートツアーへの予約が必要。毎週木、金、土曜日の午後1時開始で、入館料は一般1500円、大学・高校生千円。せきがはら人間村ホームページから申し込む。問い合わせは関ケ原ゼネラル・サービス、電話0584(43)1878(平日のみ)。

 新妻実(にいづま・みのる) 大理石や御影石、火山岩などを生かして幾何学的、または有機的なスタイルの彫刻を制作した。米国やポルトガル、日本などで精力的に彫刻シンポジウム(特定の場所に滞在して公開制作を行う活動)に参加。作品はニューヨーク近代美術館、スミソニアン美術館をはじめ、国内外の美術館や庭園に収蔵されている。