全国で六条大麦「もち麦」人気…でも作付面積が増えない理由とは?生産日本一の福井県はほぼ横ばい

AI要約

健康志向の高まりで全国で人気のもち麦が、福井県内で生産されている六条大麦の一種である。市場規模は拡大しているものの、生産量は横ばいで推移しており、増産には課題がある。

県内で生産される六条大麦は、うるち麦の「ファイバースノウ」ともち麦の「はねうまもち」の2種が主な種類である。需要増加によりもち麦が人気となり、市場規模が2.5倍にまで増加した。

市場規模は高止まりしているが、もち麦の国内生産量が限られているため、外国産に頼る状況が続いている。現在は国内産の増産に向けて取り組んでいる。

全国で六条大麦「もち麦」人気…でも作付面積が増えない理由とは?生産日本一の福井県はほぼ横ばい

 健康志向の高まりで近年、全国で六条大麦の一種「もち麦」が人気だ。市場規模は拡大し高止まりしているが、六条大麦の生産量日本一の福井県内の作付面積はほぼ横ばいで推移している。転作作物の一つであるもち麦の需要増は産地にとっても朗報だが、倉庫の制約や先行き不安、価格面の課題から増産に踏み切れないのが実情のようだ。

◆市場規模2倍

 県内で生産される六条大麦は主に、麦茶や押し麦などとして使ううるち麦「ファイバースノウ」と、粘り強い食感のもち麦「はねうまもち」の2種。麦は種まき前の契約栽培で、もち麦もうるち麦も農家への支払い金額は同額だ。収穫した麦は県内JAの倉庫などに留め置かれ、必要に応じて出荷される。

 県によると、県内の六条大麦の作付面積は1994年にコメの生産調整緩和で113ヘクタールまで落ち込んだが、その後はほぼ右肩上がりで推移。2012年には5千ヘクタールを超え、15年の5420ヘクタールをピークに頭打ちとなり、23年は5140ヘクタール。

 一方で、県産大麦の大口需要家である穀物の食品メーカーはくばく(東京)によると、県内で栽培のピークとなった翌16年、体に良いとのテレビ番組報道をきっかけにもち麦がヒット。16年度の家庭向け精麦商品の推計市場規模は約67億7千万円で、15年度の約26億6千万円から2・5倍に膨れ上がった。

 以降、市場規模はおおむね高止まりの状況だが、もち麦は国内生産量が限られ、「需要増加分は20年ごろまで、ほとんど外国産で対応した」(同社)。現在は国内各産地と協議し国産への置き換えを進めている。