茨城・稲敷でイチゴ大規模栽培へ ファーマインド 来年11月から出荷 希少品種を効率的に

AI要約

ファーマインド(東京)のグループ会社が茨城県でイチゴの大規模栽培を始める。3種類の希少品種を栽培し、持続可能な農業を目指す。

栃木県での栽培技術を活かし、茨城県稲敷市での農園開設を決定。2025年11月に国内外への出荷を予定。

イチゴ園は圏央道稲敷ICに近く、初年度は約2ヘクタールで160トンの収穫量を見込む。リフティングシステムや自動調整装置を導入し、効率的な栽培を実現。

茨城・稲敷でイチゴ大規模栽培へ ファーマインド 来年11月から出荷 希少品種を効率的に

青果の総合流通業、ファーマインド(東京)のグループ会社「ファーマ村いちご農園」が、茨城県稲敷市内でイチゴの大規模栽培に乗り出す。「ロイヤルクイーン」など3種類の希少品種を効率的な方法で栽培し、持続可能な農業を目指していく。2025年11月から国内外へ出荷を開始する方針。

ファーマ村いちご農園は20年に設立。栃木県内で、イチゴの試験的な栽培や流通試験を行ってきたが、栽培の技術を確立して味の質を担保できたため、本格的に同市で農園開設へかじを切った。

建設が進むイチゴ園は、圏央道稲敷インターチェンジ(IC)にほど近い。ファーマ村いちご農園の川島浩司代表(48)は「物流の利便性に加え、栽培に適した土地のコンディションや気候を考慮して決めた」と同市での建設を決めた理由を話す。

敷地面積は約8ヘクタール。第1期として栽培面積約2ヘクタールを見込む。来春から栽培を開始し、来年11月から出荷する予定という。年間収穫量は160トンを見込む。28年までに計4.5ヘクタールまで拡大していく。

持続可能な農業を目指すため、空間を有効活用できる「リフティングシステム」を導入。ハウスの上部から苗床をつり下げ、ワイヤでてんびんのように動く仕組みで、作業通路がないため苗を多く植えられるのが特徴。川島代表は「同じ栽培面積の1.8倍の収量が見込める」と、メリットを指摘する。

また、ハウス内の室温や日射時間を機械的に調整し、最適な生育環境をつくり出す装置も取り入れ、安定した品質とおいしさを担保する。勘に頼らないため、大きな失敗も少ないという。

販路は、国内流通にとどまらず、初年度から成田空港から台湾や香港への空輸を行う。輸出国に合わせた管理を徹底するため、専用のハウスで栽培する。また、傷の付いたイチゴなどもパウダーやペースト用として業者に販売し、「廃棄ゼロ」への取り組みにも力を入れる。

川島代表は「イチゴは人気がある果物。農業者が減少する中、国内自給率を上げていきたい」とし、「農業が魅力的な業種だという認識を広めたい」と意気込む。