海底の日本酒、1年経て陸揚げ 札幌の企業「地場の特産品に」 風味の変化調べ商品化検討

AI要約

札幌の企業「北海道海洋熟成」が海底熟成事業で1年間沈めていた日本酒を引き揚げ、風味の変化を試飲や分析する予定。

海底に沈められた「国稀」の原酒やスパークリングなどの酒は、約6キロ沖合にある水深45メートルの場所で実験されており、今回30本残る分が引き揚げられた。

本間一慶社長によると、海底熟成により酒の味わいがまろやかになるとされ、引き揚げた酒の味の鑑定や成分分析を通じて商品化の可能性を模索するという。

海底の日本酒、1年経て陸揚げ 札幌の企業「地場の特産品に」 風味の変化調べ商品化検討

 酒の海底熟成事業を手がける札幌の企業「北海道海洋熟成」は、増毛町の沖合に1年間沈めていた日本酒を引き揚げた。海中で寝かせることによる風味の変化を調べる実証実験で、今後、試飲や分析を進める。

 同社は昨年6月、増毛港から約6キロの沖合に、町内の地酒「国稀」の原酒やスパークリングなど、720ミリリットル8種類を計60本ほど漁船で運び、海底に沈めた。水深は約45メートル。増毛漁協の協力を得て、おおむね3カ月ごとに一部の瓶を陸揚げし、今回は4日に残る30本弱を20分ほどかけて全て引き揚げた。

 同社の本間一慶社長(45)は、30年近い活動歴を持つ現役のバーテンダー。札幌市内でバーを営む傍ら、道内各地で同様の実験に取り組んでいる。海底は水温の変化が比較的穏やかとされ、本間社長は「海底で寝かせることにより酒の角が取れ、まろやかな味わいになる」と狙いを話す。

 今回引き揚げた瓶は、注ぎ口がみつろうで覆われており、表面にはフジツボがびっしりと付いて海底での時間経過をうかがわせる外観に。本間社長らは今後、寝かせた酒の味の鑑定や成分分析などを行い、商品化できるか検討していくという。