県外からウミガメ調査 一般市民がボランティア、和歌山県みなべ町の上陸産卵地で

AI要約

和歌山県みなべ町で行われているアカウミガメの上陸・産卵調査に関する環境ボランティア活動に、地域外からも一般ボランティアが参加している。

研究者と市民が連携し、環境保護活動を行うNPOが主催しており、定期的に調査を行っている。

ボランティアによる浜の調査や環境問題への関心が高まる中、参加者は地元の研究者や団体から指導を受けながら活動している。

参加者が行った調査では、アカウミガメの上陸はあったものの産卵は見られず、照明や工事の影響など環境面での課題も指摘されている。

浜に存在するさまざまな問題について、ボランティアたちは環境保護の観点から認識を深めている。

アカウミガメの生態やみなべ町が持つ重要性についての講義も行われ、参加者はウミガメの繁殖に関する知識を学んでいる。

地元と非地元の参加者が協力し、地球環境保護に向けた取り組みが行われている。

県外からウミガメ調査 一般市民がボランティア、和歌山県みなべ町の上陸産卵地で

 一般市民が環境ボランティアに参加する機会をつくっているNPO「アースウォッチ・ジャパン」(東京都文京区)の事業で、和歌山県外などからの一般ボランティアが11日から13日までの日程で、みなべ町の千里の浜や岩代の浜でアカウミガメの上陸・産卵調査に参加している。21~23日にも別のチームが訪れる予定。

 アースウォッチは、市民が自ら地球環境を守っていく社会づくりを目指し、環境問題に実証的な研究活動をしている研究者の野外調査に、ボランティアとして一般市民を派遣している。

 みなべ町の浜では毎年この時季、NPO日本ウミガメ協議会や、町教委、地元の有志でつくる「みなべウミガメ研究班」や若者でつくる「青年クラブみなべ」のメンバーがアカウミガメの上陸や産卵を調査している。アースウォッチは、2016年からその調査にボランティアを派遣しており(コロナ禍の20、21年は研究者のみ)、これまで延べ約150人が参加してきた。

 11日からのチームには、東京、神奈川、大阪、兵庫などからボランティア12人が参加。初日の11日は千里の浜に2班、岩代の浜に2班の計4班に分かれ、午後9時ごろから、日本ウミガメ協議会やみなべウミガメ研究班のメンバーの指導を受けながら浜を歩いた。

 千里の浜では午前1時台と2時以降に計2匹が上陸したが、産卵はしなかったため、大きさの測定や標識の確認・取り付けなどはしなかった。岩代の浜では、上陸が確認できなかった。

 岩代の浜を調査した東京都北区の大学生、圓林悟さん(20)は「踏切のそばの照明が浜までもれてきていたり、近くの山の斜面を固める工事の影響か、浜にコンクリートが落ちていたりと、『ウミガメの視点』で浜を見ると、産卵しにくい状況があることに気付いた」と話した。

 浜の調査前には、同町埴田の国民宿舎紀州路みなべで、日本ウミガメ協議会の松沢慶将会長による講義があった。松沢会長は、みなべ町は本州最大のアカウミガメの産卵地であることや、地球には8種類のウミガメが生息し、うち日本で産卵するのは3種類であること。アカウミガメは自分が生まれた浜に産卵のため戻ってくることや、夜に砂浜に上陸し、深さ50~60センチの穴を掘って、ピンポン玉くらいの卵を約20分かけて100~120個ほど産むことなどを説明した。