30万人が聞いた「いのちの授業」 命の大切さ伝えた20年、書籍に

AI要約

鈴木中人さんがNPO法人を通じて20年間にわたり続けてきた「いのちの授業」を集大成した書籍が出版された。

書籍では、鈴木さんが体験した娘の病気や闘病、そして授業での出会いや気づきを通じて、命や生きる意味について考えさせる内容が紹介されている。

鈴木さんの願いは、この書籍を通じて多くの人が「いのち」について考えるきっかけとなり、命を大切にする心を育み、子ども支援活動にも役立てられることである。

30万人が聞いた「いのちの授業」 命の大切さ伝えた20年、書籍に

 学校や企業で命の大切さや家族の絆を啓発する「いのちの授業」を続けているNPO法人「いのちをバトンタッチする会」(愛知県豊田市)代表の鈴木中人さん(66)が、会発起から20年間の集大成となる書籍「私が一番受けたい『いのちの授業』」(ごま書房新社)を出版した。教育や医療の関係者だけでなく多くの人が手に取り、「いのち」を考えるきっかけにしてほしいと願っている。

 ◇1500回以上語りかけ

 鈴木さんの長女景子ちゃんは3歳でがんを発症。3年間の闘病の末、1995年に6歳で亡くなった。鈴木さんは娘が託してくれた「いのちのメッセージ」をバトンタッチすることこそ務めと思い、2004年に同会の設立を思い立った。活動に専念するため翌年会社を辞めた。「いのちの授業」を続け、学校や企業で1500回以上、延べ30万人以上に語りかけてきた。鈴木さんの体験は小学校の道徳の教科書にも採用されている。

 発起から20年の今年、集大成の書籍を手がけた。景子ちゃんとの「いのちの話」だけでなく、20年間の授業の中での出会いや気付きを紹介している。

 第3章の「いのちを育むために大切にしたい10のこと」では、10の命への考え方「大切にしたい『いのちの眼差し』」を記した。「いのちは自分だけのものではない」「いのちへの思いも、本当に大切なことも、人生の歩みとともに変わっていきます」などと優しく語りかけている。

 鈴木さんは「『いのちって何だろう』、『生きるって何だろう』と考えることが命を大切にする心を育むことになる。この本がそのきっかけになってほしい」と願う。書籍は各地の教育委員会や医療施設などに無料で計1000冊配布。印税は全て子ども支援活動に寄付する。

 202ページ、税別1300円。各地の主要書店やインターネット通販アマゾンなどで購入できる。問い合わせは同会事務局(0565・31・4399)へ。【川瀬慎一朗】