子どもの致死率5~10%「エムポックス(サル痘)」が国内で広がる恐れは?新興感染症専門家に聞く

AI要約
WHOがエムポックスを国際的な懸念事態として宣言エムポックスは急性発疹性の感染症で、重症化しやすいタイプが広がっている感染はネズミから人へ拡大する人獣共通感染症
子どもの致死率5~10%「エムポックス(サル痘)」が国内で広がる恐れは?新興感染症専門家に聞く

WHO=世界保健機関は「エムポックス(サル痘)」について、今月「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。2022年に欧米を中心に感染が広がったものより《重症化しやすい》タイプの感染が広がっており、22日にはタイでも感染者を確認。アジア初とみられ、世界的な広がりが懸念されています。「エムポックス」はどんな感染症なのか?今後の日本への影響は?新興感染症の専門家に聞きました。

ーなぜ今感染が広がっているのでしょうか?

長崎大学高度感染症研究センター 安田二朗教授:

「今月、WHOが緊急事態宣言を出した対象はエムポックスの中でも、アフリカのコンゴ民主共和国を中心に流行している「クレードIb(ワンビー)」という系統です。2022年23年に欧米で広がった「IIb(ツービー)」に比べて重症化しやすく、感染力も強いことから今後感染が拡大していくのではないかとWHOが非常に警戒しています」

「実際8月15日にはスウェーデンで、22日にはタイで「Ib」のエムポックス患者が報告されました。今後先進国でも輸入症例が出てくる恐れがあります。

■「サル痘」から名前が変わった理由

ーそもそも「エムポックス」はどのような感染症なのでしょうか?

安田教授:

「一言で言うと『急性発疹性の感染症』です。1980年に根絶宣言が出された『天然痘』の原因ウイルスである『天然痘ウイルス(痘瘡ウイルス)』と遺伝子が非常によく似た、近縁の『エムポックスウイルス』による感染症です」

「『人獣共通感染症』で、元々はネズミの仲間が持っているウイルスが、ネズミに噛まれたり、感染ネズミの血液・体液に触れたり、ネズミを食用として摂取することで他の動物や人に感染が拡大しました」

「最初にサルから見つかったため『サル痘』『モンキーポックス』という名前がつきましたが、サルもネズミから感染しています。誤解と混乱が起きないように、去年感染症法上の名称が『エムポックス』に変わりました。ただし『エムポックス』の『エム』は『モンキー』の『エム』なんですけどね」