署員クマ役、初の合同訓練 大台町で三重県、県警、猟友会など40人

AI要約

三重県でクマ被害対応の訓練が初めて実施された。

今年度から始まった訓練は県内8カ所で予定されている。

クマの出没情報が過去最多で、南勢地域で多い傾向にある。

署員クマ役、初の合同訓練 大台町で三重県、県警、猟友会など40人

 全国的に相次ぐクマの被害に対応しようと、三重県と県警、県猟友会、多気郡大台町などは11日午後1時から、同町小滝の町領内地域総合センターで、「ツキノワグマ出没時の対応合同訓練」を初めて実施。40人が参加し、クマの目撃情報や人身被害などが発生した場合の各関係機関の連携などを確認し合った。

 「ツキノワグマ出没時の対応合同訓練」は、今年度から初めて運用された訓練で、7~8月にかけて県内8カ所で実施する予定。

 県内では、昨年のクマの出没情報は過去最多の40件だったが、今年はそれを既に上回るペースで出没情報があり、9日現在で10市町、44件に上る。松阪地区では、多気町相鹿瀬で1件、大台町明豆などで3件情報が寄せられ、尾鷲市や熊野市は10件以上に及ぶなど、南勢地域で多い傾向にある。

 この日はまず、県警や大台町、度会郡大紀町がクマの出没情報の現状や、法に基づく対応方法などを講義。大台町は、2020(令和2)年度にクマに関する通報が13回に及び、うち2回は人身被害が発生したことなどを踏まえ、翌21年度に「町ツキノワグマ対応ガイドライン」を策定し、クマの情報が寄せられた際の対応や町民への注意喚起の手順などを明記していることを説明した。

 その後、大台署の若手署員がクマに扮(ふん)して実地訓練を行った。キャンプ場に出没したクマが周辺の山林に逃走し、町職員らが猟友会会員と協力しておりを仕掛ける方法や、集落に出没したクマが人に危害を加えて逃走し、駆け付けた大台署員の発砲許可を得た猟友会のメンバーが銃で模擬駆除し、署員が生存確認するところまでの手順を確認した。

 猟友会のメンバーからは「実際のクマとの現場では秒を争う。今日のような訓練では現実に対処できない。今後も役場と対応を話していきたい」と課題が挙がった。

 大台町の西尾真由子副町長は「目撃情報が多くて、(町民と)観光客も不安に思われると思う。訓練を通じて、関係づくりを続けていきたい」と話した。