「マイクロソフトのエンジニア“ジャック・ウィリアムス”です」画面に突然「警告」電話番号にかけると「ハッカーに乗っ取られている、4万円分必要」と言われコンビニへ向かった高齢女性 声かけたコンビニ店員がとっさの判断

AI要約

大阪府岸和田市で特殊詐欺を未然防止した勇気ある行動が起きた。

女性が詐欺に遭いながらも、コンビニ店員によって被害を回避できた。

地域の協力で特殊詐欺被害を減らす取り組みが行われている。

「マイクロソフトのエンジニア“ジャック・ウィリアムス”です」画面に突然「警告」電話番号にかけると「ハッカーに乗っ取られている、4万円分必要」と言われコンビニへ向かった高齢女性 声かけたコンビニ店員がとっさの判断

5月3日、大阪府岸和田市内に住む女性(70代)のパソコンに異変が起きた。画面に現れたのは「警告」。パソコンを自由に操作出来なくなり、女性は困り果てた。「一体、どうすれば良いのだろう…」。すると、目に入ったのはパソコン画面に警告とともに表示されていた一つの電話番号だった。

女性は迷うことなくその番号に電話をかけた。すると、「私はアメリカ・マイクロソフトのエンジニア“ジャック・ウィリアムス”です」。電話口から聞こえてきたのは、たどたどしい日本語で話す男性の声。自称“ジャック・ウィリアムス”はこう続ける。「あなたのパソコンはハッカーに乗っ取られている。修理しないといけないので、コンビニでプリペイドカード4万円分買ってください」。

驚いた女性はすぐにコンビニへ。言われた通り、プリペイドカード4万円分を持ってレジへ向かった。レジにいたのは、ファミリーマート岸和田土生町店のパート・堀内真理さん(52)。コンビニ店員歴15年のベテランだ。

堀内さんは女性を見るなり、すぐに違和感を感じた。「おばあちゃん、本当にプリペイドカードが必要なのかしら」。どうしてプリペイドカードを買うのか女性に尋ねると、口にしたのはあの“ジャック・ウィリアムス”の名前。堀内さんは「これは詐欺だ」と確信し、すぐに110番通報した。

6月10日、大阪府警岸和田署は「特殊詐欺被害の未然防止に大きく貢献した」として、堀内さんに感謝状を贈呈した。また、携帯電話で通話しながらATMを捜査する女性(70代)に違和感を覚え、警察に通報した、春木若松郵便局の局員・徳留陸さん(34)にも、同じく感謝状が贈られた。

堀内さんが詐欺を見抜けたのは決して偶然ではない。堀内さんが勤務する店舗では、店員同士の引継ぎノートに「警察の電話番号」が書かれているほか、30分に1回特殊詐欺への警戒を呼びかける店内放送が流れているという。堀内さんは「声を掛けたら、怒られたこともある。それでも、特殊詐欺に遭うお客様を少しでも減らすため、今後も声をかけ続けたい」と話した。

去年の特殊詐欺の被害件数が29件(被害総額:約1300万円)と増加傾向にある岸和田市。警察は管内の金融機関やコンビニへ協力を呼び掛けるなどして、警戒を強めている。