2年連続の「社会増」に 移住は過去最多の80世帯 自然減の流れは変わらず/兵庫・丹波篠山市

AI要約

兵庫県丹波篠山市の2023年度の人口動態は、転入増となる「社会増」が続いている。移住者の増加が要因の一つであり、空き家の掘り起こしも急務となっている。

一方、出生数は過去最少となり、高齢化率は過去最高に達している。市は移住促進策を継続しつつ、空き家の整備にも取り組んでいる。

市の取り組みにより、移住者は増加傾向にあり、外国人住民も増加している。しかし、出生数の減少や亡くなる人数に比べた「自然減」は依然として続いている。

2年連続の「社会増」に 移住は過去最多の80世帯 自然減の流れは変わらず/兵庫・丹波篠山市

 兵庫県丹波篠山市の2023年度の人口動態(住民基本台帳ベース)が2年連続で、転出する人よりも転入する人が多い「社会増」となった。転出1417人に対して転入1466人で、49人の増。要因の一つが移住者の増加。丹波篠山暮らし案内所を通して移住した人は開設以来最多となる80世帯208人となり、地方移住の流れが続いている。ただ、居住する物件が足りておらず、市は空き家などの掘り起こしを急いでいる。一方、出生数は過去最少となり、亡くなった人数と比較する「自然減」の流れは変わらず。年度末人口は3万9469人で減少傾向が続いている。高齢化率は過去最高の36・14%となった。

 市に合併した1999年度からの人口動態では、02年度までは社会増だったが、03年度以降は転入よりも転出が多い社会減と自然減の「ダブル減」が続いた。しかし一転、22年度に転入1541人、転出1397人でプラス144人となり、20年ぶりの社会増となった。

 23年度、暮らし案内所を通した移住は22年度(68世帯185人)に続いて過去最多を更新し、相談実績は過去3番目に多い901人と堅調に推移している。

 市は、「コロナ禍以降、リモートワークの普及などで働き方が変わり、都市部に近い立地のポテンシャルをさらに生かせるようになった。この機を逃さず、移住促進を継続できていることで移住増につながっている」とする。ただ、「リモートワークは縮小傾向にあり、流れがあるうちにさらに手を打ちたい」と話す。

 コロナ禍で一時減少していた外国人住民も一昨年度から増加しており、23年度末は1084人で、22年度から70人増えた。

 一方、「空き家バンク」の登録者は累計約1500人で、うち921件が成約。いまだ500人以上が物件を求めている可能性があるが、現在の登録物件は約120件。

 足りていない物件を掘り起こそうと、市は昨年5月に市内全域を調査し、空き家と思われる837件を確認。不動産業者などへ流通済みの物件を除く619件の所有者に意向調査を行ったところ、279人から回答があり、うち117件は売買や賃貸が可能との意向を確認したという。うち27件が同バンクに登録し、2件が成約。登録前調査も28件が行った。引き続き、掘り起しに注力する。

 23年度に生まれた人は194人と22年度(199人)を下回り、過去最少。16年度まではおおむね300人前後で推移していたが、じわじわと減り始め、2年連続で200人を割った。市は、「コロナ禍で婚姻数が減り、なかなか復調しない」と苦慮する。

 出生に対して亡くなった人は561人で、367人の自然減。社会増分では追いついておらず、全体的な人口は減少し続けている。

 65歳以上の高齢者人口は1万4266人。

 市は、「今年4月に発表された『消滅可能性都市』(若年女性人口が2020年から30年間で50%以上減少する自治体)から丹波篠山は脱却したものの、楽観視はできない。ただ、移住者は以前に比べたら目に見えて増えており、着実に移住者を増やしてきたからこそ踏みとどまれている」とし、「移住相談も安定しており、しっかりと取りこぼさないようにして、次年度も社会増にしていきたい。そのためにも空き家などの受け皿の整備を継続する」としている。