児童手当拡充、夫婦の「共働き・共育て」推進で加速化プラン具体化 少子化対策関連法成立

AI要約

成立した少子化対策関連法は、子育て世代への経済的支援政策が盛り込まれた。

政府は出生数の減少に対応し、子育て環境整備を急ぐ。

政府が具体化したこども未来戦略の内容や財源確保、支援金制度の導入などが盛り込まれている。

政府が子育て世代に対する児童手当や育児休業支援給付の拡充を図り、共働き・共育てを推進する内容も盛り込まれている。

財源確保では、社会保障の歳出削減や子ども・子育て支援金制度の導入によって賄う方針だ。

支援金制度の創設による個人の負担増については、国民の不満が根強いが、政府は給付額拡充を強調し説明に努めている。

しかし、徴収額試算の結果や所得が増加すれば負担が増えないという説明に疑問が出ている。

児童手当拡充、夫婦の「共働き・共育て」推進で加速化プラン具体化 少子化対策関連法成立

5日の参院本会議で成立した少子化対策関連法は、子育て世代を経済的に支援する政策などが盛り込まれた。政府が昨年作成したこども未来戦略の「加速化プラン」を具体化する内容だ。同日発表された令和5年の人口動態統計(概数)の出生数は72万7277人で過去最少を更新。少子化に歯止めをかけるため、政府は出産・子育てしやすい環境の整備を急ぐ。

政府は同法で、子供や子育て世代に対する経済的な支援やサービスの充実、財政基盤の確保について、一体的な整備を図る。児童手当は10月から所得制限を撤廃し、現在0歳から中学生までの支給期間を高校生年代まで延長する。低所得のひとり親世帯などに支給される児童扶養手当も、11月から第3子以降の加算額を月最大6450円から1万750円に増やす。

夫婦が等しく仕事や家事、育児を役割分担する「共働き・共育て」を推進するため、「出生後休業支援給付」を7年4月に創設。両親とも14日以上の育児休業を取得した場合、手取り収入を現在の育休前の実質8割から実質10割に引き上げる。

政府は加速化プランを実行するための財源について、最大で年3・6兆円と見込む。このうち1・5兆円は既定予算の活用で賄い、社会保障の歳出削減で1・1兆円を捻出する。残りは公的医療保険に上乗せする「子ども・子育て支援金制度」を創設して幅広い世代から徴収する方針だ。

支援金制度の創設に伴う個人の負担について、政府側は賃上げなどで国民の所得が増えれば「実質的な負担は生じない」との説明を繰り返した。

岸田文雄首相は2月、徴収額は10年度に医療保険加入者1人当たり「月平均で500円弱」と言及。ただその後、政府は野党側の追及を受け公的医療保険別や収入別の徴収額試算を小出しに公表した。結果的に示された試算は月50~1650円となり、首相が当初説明した「月500円弱」を上回るケースもあった。

政府は支援金制度の創設で子供1人当たりの給付額が計146万円拡充されると説明するが、負担増に国民の不満は根強い。自民党の閣僚経験者は「首相は『負担増』と批判されることを警戒しすぎ。国民に正直にお願いすべきだ」と話した。(大島悠亮)