大事なペットが突然体調を崩して…緊急受診は症状次第では時間調整が必要【ワンニャンのSOS】

AI要約

大事なわが子が体調を崩した際に緊急受診が必要かを電話で確認する際には、正確に症状やワクチン接種の有無を伝えることが重要。

ネコ風邪やケンネル・コフのような感染症は免疫力の低い子にとって大きなリスクであり、他の子にも感染する可能性があるため注意が必要。

緊急性のないケースでも、時間調整や遅れが予想される際には、事前に連絡をして調整することがスムーズな対応に繋がる。

大事なペットが突然体調を崩して…緊急受診は症状次第では時間調整が必要【ワンニャンのSOS】

【ワンニャンのSOS】#64

 大事なわが子が大変で……。ネコちゃんやワンちゃんがぐったりして体調を崩すと、慌ててかかりつけ医に連絡される方がいます。その気持ちは分かりますが、電話などでは慌てずに事情を説明してもらえると緊急の受診は必要ないことも少なくありません。そんなときにどう連絡するか。そのコツを紹介しましょう。

 ネコちゃんの場合、涙目や鼻水、くしゃみが見られると、ネコ風邪が疑われます。ワンちゃんでは繰り返す咳や食欲の低下などがあると、ケンネル・コフかもしれません。これらの病気は、若くて免疫力がしっかりしていれば、風邪のような症状で済みますが、安心できない場合があるのです。

 動物病院には、若くて元気な子だけでなく、抵抗力のない乳飲み子や慢性疾患を抱えたシニアもいます。そういう免疫力が不十分な状態のネコちゃんやワンちゃんにとっては、ネコ風邪やケンネル・コフも危険です。いずれも感染力が強く、空気感染や飛沫感染で伝播しますから、もし風邪の子が緊急受診をするときは、ほかの子に感染しないような調整が必要なこともあります。

 そんなとき、電話で症状を確認したら、ワクチン接種の有無を質問します。接種していても1年以上の間隔があれば、「ワクチンは接種済みですが、1年以上あいています」ときちんと伝えてください。

「ワクチンは打っています」「抗体検査で大丈夫でした」などの答え方では、電話口のスタッフや内容を伝え聞いた獣医師が判断を誤る恐れがあります。

 ですから、獣医師への電話では、なるべく正確に症状やワクチン接種の有無などを伝えた上で、受診時間の調整については理解していただきたいと思います。

 風邪以外の典型的な症状として下痢があります。「断続的な下痢でぐったりしていて、食事もとらない」という症状で緊急受診を要求されることがあります。しかし、下痢以外に症状がなければ、時間をあけても問題ないことがほとんど。実際、その後の受診で状況を確認すると、「食事をとらない」の正体は、「食欲がないから、あげるのを控えていた」というオチがついたりします。

 きちんと時間調整を受け入れて予約をとっても車で渋滞に巻き込まれると、予約に間に合わないかもしれません。そういうときも、「すみません、遅れます」ではなく、「いま○○のあたりで△△分遅れそうです」と連絡いただければ、待機するスタッフの確保ややりくりもスムーズで、その予約が受け付け終了時間間際だったりするとなおさらです。

 ヒトでもそうでしょう。大した症状でないのに救急車を呼ぶため、救急医療がパンク。救急医療の維持が問題になっています。緊急受診を希望するときは、動物病院に連絡した上で獣医師の判断を仰ぐのが無難でしょう。

(カーター動物病院・片岡重明院長)