無職のはずの妻がこっそりパートを始め、「月収12万円」を超える月もあると発覚!“扶養を外すタイミング”はどうすべき? 収入と扶養の関係について解説

AI要約

被扶養者の収入が増加した場合、扶養から外れるタイミングや注意点について詳しく解説しています。

扶養者の収入が規定額以上になった場合、速やかに会社に報告する必要があります。報告を怠るとさかのぼって扶養を外すことになるため、注意が必要です。

また、パートを始めた際や雇用契約内容が変わった際にも、扶養から外れるタイミングが設定されているため、適切な対応が求められます。

無職のはずの妻がこっそりパートを始め、「月収12万円」を超える月もあると発覚!“扶養を外すタイミング”はどうすべき? 収入と扶養の関係について解説

社会保険の被扶養者が働き始めた場合、収入によっては扶養を外れなければならないことがあります。こうした場合、どの時点で扶養から外れるのでしょうか。本記事では、被扶養者の収入と扶養の関係について紹介します。

社会保険では、収入が一定以下の場合は、自分で社会保険料を支払うことなく、配偶者や親などの扶養に入ることができます。

■被扶養者の収入はいくらまで

被扶養者になれるのは、収入の見込み額が年130万円未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満)、かつ被保険者の収入の2分の1未満の場合です。

社会保険では、被扶養者の収入について「現在の収入が今後1年間続いた場合の見込み額」が、基準である「130万円」未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満)かどうかで判断します。

つまり1ヶ月の収入が継続的に10万8333円(12ヶ月で130万円)以上と見込まれた時点で、扶養を外れることになります。所得税の扶養と異なり、暦年(1月1日から12月31日まで)の合計額で判断するわけではないため、注意しましょう。

■被扶養者の収入を隠していると

妻が夫の扶養に入っているケースで考えてみましょう。妻の収入が増え、年130万円以上となったときは、夫は速やかに会社に報告しなければなりません。この報告をしないまま時間が経過してしまうと、さかのぼって扶養を外すことになります。

そうなると、妻はさかのぼって国民年金や国民健康保険に加入しなければならず、一度に多額の保険料を支払わなければなりません。また、この期間に病院にかかっていると、医療費の払い戻しなど面倒な手続きも発生します。

妻の収入が増加した場合、扶養から外れるのはいつなのでしょうか。

■妻がパートを始めたときは

月給10万8333円以上の雇用契約でパートを始めた場合は、原則として、雇い入れの日に扶養を外れます。10万8333円には通勤手当が含まれることに注意しましょう。

なお、パートで働き始めても、勤務日数が少ないなどの理由で月給が10万8333円に届かない場合は、扶養に入ったままでいられます。

■妻の雇用契約が変わったときは

妻の雇用契約内容が変わり、時給が増えたり所定労働時間が増加したりした結果、月給が継続的に10万8333円以上になったときは、契約が変わった日から扶養を外れることになります。

なお、突発的な人手不足などの理由で一時的に収入が増えた場合は、扶養を外れなくてもよいケースもあります。

■妻が社会保険に入ったときは

妻が勤務先(パート先)で社会保険に入った場合は、収入額に関係なく、社会保険の資格取得日に扶養から外れます。

■妻の収入が変わったら

全国健康保険協会や健康保険組合では、定期的に被扶養者資格を確認する調査を行っています。しかし、妻の収入が扶養の範囲を超えることになった場合や、超えていることが判明した場合は、調査を待たず、速やかに会社に報告しましょう。

また、妻の収入が月によって異なるなど、年130万円(月額10万8333円)になるかどうか微妙なときも、一人で考えず、会社に相談したほうがよいでしょう。

被扶養者の収入は、家庭によっては把握しづらいものかもしれません。しかし、知らないうちに被扶養者の収入が増加していると、さかのぼって扶養を外さなければならないこともありますので、時々は家庭内で、角が立たないようにさりげなく、現在の収入確認をしてみてはいかがでしょうか。

出典

全国健康保険協会 被扶養者とは?

厚生労働省 事業主の証明による被扶養者認定Q&A

執筆者:橋本典子

特定社会保険労務士・FP1級技能士