甘柿と渋柿って何が違うの?柿の栄養と意外と知らない健康効果とは|管理栄養士が解説

AI要約

柿には「甘柿」と「渋柿」がありますが、お店で販売される柿は渋みがなく甘いものが多いです。甘柿と渋柿の違いは、タンニンの性質にあります。

甘柿は熟すとタンニンが不溶性に変わり、渋みを感じなくなります。渋柿のタンニンは水溶性なので、口に入れると渋みを感じますが、お店の柿は渋抜きされています。

柿はビタミンCやカリウムが豊富に含まれており、抗酸化作用や体内の塩分調整に役立ちます。さらに、柿には多くの品種があり、品種改良によりおいしい新品種も登場しています。

甘柿と渋柿って何が違うの?柿の栄養と意外と知らない健康効果とは|管理栄養士が解説

柿には「甘柿」と「渋柿」がありますが、お店に並んでいる柿は渋みがなく、どれも甘くておいしいですよね。甘柿と渋柿は何が違うのでしょうか?この記事では、甘柿と渋柿の違いを管理栄養士が解説します。この記事を読むと、柿を食べるのが楽しくなりますよ!

■甘柿、渋柿ってなに?どう違う?

柿は9~11月に旬を迎える、秋を代表する果物のひとつです。上品な甘みや歯ごたえのある食感が特徴ですが、熟した柿の濃厚な甘みややわらかな食感も魅力的です。

柿は主に「甘柿」と「渋柿(しぶがき)」に分けられます。甘柿と渋柿は、柿に含まれるタンニンの性質が異なります。タンニンとは、渋みのもとになる成分。お茶やコーヒー、ワインなどに渋みを感じるのは、タンニンが含まれているからです。

渋柿のタンニンは水溶性なので、口の中に入れるとタンニンが唾液に溶け出して渋みを感じます。一方で、甘柿は熟すにつれてタンニンが水溶性から不溶性に変わります。不溶性タンニンは唾液に溶けないため、甘柿は渋みを感じません。

お店では渋柿も販売していますが、どの柿も渋みがなく甘いですよね。それは渋抜きをしているからです。アルコールや炭酸ガスを用いて水溶性タンニンを不溶性に変えることで、渋みを感じにくくさせています。

また、柿を切ると果肉の断面にゴマのような黒い斑点がみられることがあります。この黒い部分はタンニンが不溶性に変わったもの、またはタンニンと微量の鉄が結合したタンニン鉄です。そのため、食べても体に害はありません。

■柿の主な品種

柿はさらに、完全甘柿・不完全甘柿・不完全渋柿・完全渋柿の4つに分類できます。この分類は、種とタンニンの関係で決まります。

先ほど述べたように、熟すにつれてタンニンが不溶性に変わるのが完全甘柿、水溶性のままなのが完全渋柿です。一方で、不完全甘柿は種が多いとタンニンが不溶性に変わって甘くなり、種が少ないと渋いままです。不完全渋柿は種が多いと種のまわりだけタンニンが不溶性に変わり、甘くなる性質があります。

お店で販売している柿は、不完全甘柿や不完全渋柿でも渋抜きをしているため、渋みがありません。また、干し柿にすることでも渋みが抜けます。

柿の主な品種を分類しました。いつも食べている柿の品種はありますか?

完全甘柿:富有柿(ふゆうがき)、次郎柿

不完全甘柿:西村早生(にしむらわせ)、禅寺丸(ぜんじまる)

不完全渋柿:平核無(ひらたねなし)、刀根早生(とねわせ)

完全渋柿:愛宕柿(あたごがき)、西条柿

■柿の栄養と健康効果

柿100gあたりに含まれるエネルギーは約60kcal、糖質は約14gです。柿1個は150~200g程度なので、1個あたりのエネルギーは90~120kcal、糖質は21~28g程度になります。

柿にはビタミンCが豊富に含まれています。その量はみかんの約2倍。ビタミンCは、免疫機能や肌のコラーゲン生成に関わる栄養素です。さらに、柿に含まれるβ-カロテンとの相乗効果で抗酸化作用も期待できます。抗酸化作用により活性酸素の働きが抑えられるため、老化や動脈硬化の予防に役立つでしょう。

柿に含まれるタンニンは、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種でもあります。さらに、タンニンにはアルコールの分解を促進する作用もあります。お酒を飲む前に柿を食べると、二日酔いを予防できるかもしれません。

また、柿はカリウムも多く含んでいます。カリウムは、体内の余分な塩分を排出する作用があるミネラルです。塩分を摂りすぎると体がむくみやすくなるため、柿はむくみの解消にも効果的といえるでしょう。

柿は、甘柿や渋柿を合わせて1,000以上の品種が存在するとされています。今も品種改良が進んでおり、甘くておいしい新品種が登場しています。いろいろな品種を食べ比べて、お気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか?

【参考文献】

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

JAいび川「柿の種類とその特徴。甘柿と渋柿の違いや?見分け方」

島根県 農業技術センター かき栽培指針「1)脱渋」

白鳥早奈英. 坂木利隆. もっとからだにおいしい野菜の便利帳.高橋書店.2011.

ライター/いしもとめぐみ(管理栄養士)