有休中、外出直前に職場から電話が!「君しか分かる人がいないから」と言われたけど、有休中なら「電源オフ」でも問題ない? 事前にすべき“対策”も解説

AI要約

有給休暇は労働者の権利であり、労働の義務から解放される日である。休暇中には労働をする必要はなく、電話対応も残業代を請求できるという法的な権利がある。

電話対応を減らすためには、事前に引き継ぎをしっかり行ったり、メール連絡を取るように頼んだりすることが有効である。また、緊急時以外の連絡は避けるよう同僚や上司に伝えることも効果的である。

休暇中には業務用の携帯電話はオフにしても問題ないが、プライベート携帯は繋がるようにしておくことが安全である。

有休中、外出直前に職場から電話が!「君しか分かる人がいないから」と言われたけど、有休中なら「電源オフ」でも問題ない? 事前にすべき“対策”も解説

労働者の権利の1つである「有給休暇」ですが、せっかくの休みを満喫しているときに会社から「ほかの人ではわからないことだから、あなたに教えてほしい」と電話がかかってくることもあるかもしれません。このような業務の電話がかかってくると、休暇中なのに会社にいる気分になってしまい落ち着かないこともあるでしょう。

いっそのこと「休暇中は携帯電話の電源をオフにしてしまいたい」と思う人もいるのではないでしょうか。本記事では、有給休暇の権利と会社からの電話の対処法について解説します。

有給休暇とは、一定の基準を満たした労働者に付与される権利で、有給休暇を取得するには次の条件を満たす必要があります。

●雇用された日から6ヶ月経過していること

●雇用期間の全労働日の8割以上出勤したこと

これらの条件を満たしていれば、正規の社員だけでなく、パートやアルバイトにも付与されます。ただし、雇用の形態によって付与される日数に違いがある点には注意が必要です。

有給休暇中は、労働者は労働が免除されます。そのため労働者に労働する義務はなく、たとえ数分で済む仕事の電話であっても、業務に関する「労働」である以上、対応する必要はありません。

そのため、もしも休日や休暇中に電話対応をした場合、労働基準法に基づく場合は賃金の支払いが発生することになります。また、休暇中は通常の業務時間外のため、割増賃金を請求することができます。

法的には有給休暇中は労働の義務がなく、電話対応をした場合は残業代を請求できます。しかし、実際のところは数分単位の残業代を請求するのは現実的でなく、結局電話対応をしてしまうという人は多いのではないでしょうか。そこで、有給休暇中の電話を少しでも減らすためにも、できる対策について見ていきましょう。

■引き継ぎをしっかりする

休暇中によく電話がかかってくる場合は、休暇に入る前にしっかりと引き継ぎをするようにしましょう。書類の場所や顧客の対応など、誰でも対応できるように伝えておいたり、わかりやすい引き継ぎ書を作成したりしておくと電話が減るかもしれません。

■メール連絡にしてもらう

急に電話がかかってくると困る場合は、メールで要件を送ってもらうように頼んでおきましょう。メールであれば都合のいい時間に読んで、必要があれば連絡をとることができます。ただし、メール作業は業務に含まれるため、残業代請求の対象となります。

■休暇中は用事があることを伝える

有給休暇の取得にあたって、その理由を伝える義務は労働者にはありませんが、理由を伝えておくと電話しないよう配慮してもらえることがあります。例えば「長時間車を運転する」「子どもの授業参観に行く」などと伝えておけば、電話は控えたほうが良いと思ってもらえる可能性があります。

■電源オフしてもいい?

業種によっては、会社から社用携帯を支給されていることもあるでしょう。社用携帯の場合は、休暇中に業務をおこなう必要はないので電源を切っても差し支えないと考えられます。

ただし、プライベート携帯までオフすると、会社からのやむを得ない緊急時にも連絡が取れないこともあるので、電源を切ることはおすすめしません。あらかじめ電話は緊急時のみの連絡にしてほしいと同僚や上司に伝え、急ぎでないものは翌出勤日に対応すると伝えておきましょう。

現代では、携帯電話でいつでも気軽に連絡が取れるようになり便利に思う一方、休暇にもかかわらず仕事の電話がかかってきてしまうという側面もあります。

しかし、有給休暇は労働者にとって労働の義務から解放される日です。緊急時以外は電話をかけないように同僚や上司に伝え、休暇中に業務が滞らないようにきちんと引き継ぎをするようにしましょう。

出典

厚生労働省 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。

e-Gov法令検索 労働基準法

執筆者:渡辺あい

ファイナンシャルプランナー2級