「いじめ・嫌がらせ・パワハラ」相談件数が過去最多、『役立たず』『やめちまえ』と上司が叱責

AI要約

2023年度の新潟労働局への「いじめ・嫌がらせ・パワーハラスメント」の労働相談件数が過去最多の1942件に増加した。

新潟労働局雇用環境・均等室によると、パワハラに対する意識の浸透が被害者の声を上げやすくした要因とされる。

厚生労働省によると、パワハラの防止措置が大企業や中小企業に義務化され、労働局では相談件数の集計が行われている。

「いじめ・嫌がらせ・パワハラ」相談件数が過去最多、『役立たず』『やめちまえ』と上司が叱責

 2023年度の新潟労働局への「いじめ・嫌がらせ・パワーハラスメント」の労働相談件数が過去最多の1942件だった。7年連続増で、前年度から125件(6・9%)増えた。新潟労働局雇用環境・均等室は「どのような行為がパワハラに当たるかが浸透したことで、被害者が泣き寝入りせずに声を上げられるようになったことが一因」とみている。

 相談件数は16年度の1009件から増加を続ける。23年度の1942件の内訳は「パワハラ」が1710件、「いじめ・嫌がらせ」が232件。具体的な相談内容としては、「『役立たず』『やめちまえ』と上司に人前で叱責された」「上司から口をきいてもらえない」「十分な仕事を与えてもらえない」などがあったという。

 「パワハラ」と「いじめ・嫌がらせ」のどちらに計上するかは、上下関係の有無など相談内容によって労働局が判断する。「いずれも職場内での嫌がらせなどを受けているという意味では同義」(新潟労働局)としている。

 職場でのパワハラについて、政府は20年6月に優越的な関係を背景とした言動など定義を明確化。周知啓発や相談体制の整備といった防止措置を大企業に義務化した。これを受け、各労働局はパワハラについての相談件数の個別集計を始めた。22年4月には、中小企業にも義務化の対象を広げた。

 厚生労働省は精神的な攻撃や人間関係からの切り離しなどをパワハラの6類型として例示している。

 新潟労働局雇用環境・均等室の関口久志室長補佐は「会社内でハラスメント防止への意識醸成や、社内の相談体制づくりなどが重要」とした上で、「企業が対応してくれないという例も目立つので、気軽に労働局に相談してほしい」と呼びかけた。

 労働相談は新潟労働局と県内9カ所の労働基準監督署の総合労働相談コーナーで受け付ける。相談内容はパワハラに限らない。必要に応じ、解決への助言・指導や調停などを実施する。