最速最強のホットハッチ、アウディRS3が進化 ニュルブルクリンクでクラス最速の座をゲット

AI要約

2024年8月20日、アウディAGは、RS3スポーツバックとセダンのフェイスリフト・バージョンを発表した。

新型RS3は、デザインや走行性能が大幅に向上し、ニュルブルクリンク北コースで驚異的なラップタイムを達成した。

統合制御されたシャシーのデバイスや新しいアプリストア追加など、さらなる進化を遂げている。

エクステリアデザインが一新され、新色や新形状の部品が採用された。

インテリアもステアリングホイールやシートの改良が施され、アンビエントライトなども新しくなっている。

さらに機能面ではデジタルメーターパネルやタイヤも一新されている。

性能面でもエンジンは維持されつつも、オーバーステアやドリフトがよりコントロールしやすくなり、コーナリング能力も向上している。

また、RS3専用の新タイヤの採用や様々なモード切替が可能なこともポイントだ。

最速最強のホットハッチ、アウディRS3が進化 ニュルブルクリンクでクラス最速の座をゲット

2024年8月20日、アウディAGは、RS3スポーツバックとセダンのフェイスリフト・バージョンを発表した。

◆ベストラップを5秒以上短縮

新型RS3は、2021年の登場以来初となる今回のアップデートで、エクステリアおよびインテリアのデザインがリフレッシュしたほか、走行性能がさらに磨き上げられ、ニュルブルクリンク北コースにおいて、コンパクト・クラスのこれまでのベストラップを5秒以上更新する、7分33秒123という驚異的なラップタイムを記録している。

◆フロント・マスクを刷新

エクステリアは、ヘキサゴンのシングルフレーム・グリルが、従来モデルよりもワイドでフラットなデザインに変更。フォーリングス(4つ輪)のエンブレムは、従来より若干高い位置に移動している。またグリル内部も従来のヘキサゴン・パターンからダイヤモンド・パターンとなった。グリル下部には3つの横長の開口部が備わり、サイド・エア・インテークには垂直のブラックのブレードが装着されたことで、より低く力強いスタンスが強調されている。

ヘッドライトには、デイタイム・ランニングライトに、24個のLEDエレメントによるRS3専用のチェッカーフラッグ状のデジタル・シグネチャーを採用。これは、マトリックスLEDヘッドライト装着車の場合は、さらに3種類、計4種類のデザインが用意される。

◆リア・ディフェンダーを拡大

リアまわりは、バンパーの左右に垂直のサイド・リフレクターを採用したほか、大型ディフューザーの中央にレッドのリフレクターを装着。左右2本出しの楕円形エグゾースト・パイプは、ブラックのフレームにより、一層存在が強調されている。

リア・コンビランプもヘッドライトと同様に新しいグラフィックを採用。カギが車両に近づく、または離れる動きと連動して、内側から外側に向かってダイナミックに矢印が点灯する、先進的なデザインとなっている。

◆初のマット・カラーを採用

ボディ・カラーには、RS専用色のキャラミグリーンとケモーラグレーに加えて、新たにメタリック・カラーのアスカリブルーとプログレッシブレッド、そして初のマットカラーとなるデイトナグレーを設定。シングルフレーム・グリルは、ハイグロスブラックまたはマットブラックを選択可能だ。

アルミホイールは、5本Y字スポークを持つマットブラックの19インチ鍛造アルミホイールが標準だが、オプションでマットダークグレーまたはバイカラーデザインの光沢のあるブラックメタリックの10本クロススポークを備えたホイールも用意。フロント・エア・インレットとサイド・スカート、ディフューザー上部がカーボンまたはハイグロスブラックとなるエクステリア・パッケージも選択可能だ。ドア・ミラーはボディ同色かブラック、カーボンから選べる。

◆新形状のステアリング・ホイール

インテリアには、上下がフラットな新しいステアリング・ホイールを採用。標準仕様はパーフォレーテッド・レザー、オプションでは12時の位置にレッドのマーカーがあしらわれたDinamicaとなる。オプションのRSバケット・シートは、センター部にハニカムキルティングを施したDinamica、サイド部にはパール・ナッパレザーを採用。シートバックにはマットカーボンを使用して、RS3のスポーティネスを際立たせている。

各部の照明やアンビエントライトも新しくなった。ドア・パネルにはレーザー加工によるバックライトを採用。ロックとアンロック時にはアニメーション風に点灯する。ドア・オープナーやエア・ベント、ステアリング・ホイール・トリム、シフトパドルは、光の加減で色味が変化するアンスラサイトのエフェクトペイント仕上げとなった。

◆アプリストアを追加

12.3インチのデジタルメーター・パネルであるアウディ・バーチャル・コクピット・プラスには、新たにレヴ・カウンターの表示を追加。さらにパワーとトルク、Gフォース、加速度、ラップタイムも表示できる。MTモード時のRS専用シフト・インジケーターは、グリーンからイエロー、レッド点滅と変化し、理想的なシフト・タイミングをドライバーに伝える。10.1インチのタッチディスプレイには、水温やトルク・スプリッターの作動状態、ブレーキ温度、エンジンオイルおよびトランスミッションオイルの温度も表示可能だ。またオプションでタイヤ空気圧も確認できるようになる。

また新型には、ディスプレイ上で様々なアプリケーションを使用できるアプリストアが追加された。アプリケーションはインフォテインメント・システムにインストールされ、スマートフォンの接続の有無に関係なく利用可能だ。

◆エンジンは従来型を踏襲

2.5リッター直5ターボのスペックは、従来型と同じ400ps/500Nm。0-100km/h加速3.8秒、最高速度250km/h(オプションで290km/hに引き上げ可能)の動力性能も変わらない。だが走りはさらに進化している。

◆シャシーのデバイスを統合制御

新型RS3は、後輪左右間の完全可変トルク配分を可能にしたトルク・スプリッターとESC(姿勢安定制御装置)、ブレーキ・トルクベクトリング、そしてRSスポーツ・シャシーの可変ダンパーの統合制御を実現。新たに開発されたアルゴリズムにより、走行状況に応じてより俊敏な車両の動きを可能にした。これはダイナミック性能の向上に加えて、路面ミューが低い状況における操縦安定性の向上も実現している。

結果、新型RS3はコーナリング速度が向上。コーナー進入時のアンダーステアが軽減し、より曲がるクルマに進化。従来よりも緻密にコーナー内輪側のブレーキを制御することで、惰性走行時のステアリング正確性が一層高まった。この効果は、サーキットでESCをオフにした状態で最も体感できるという。

◆さらにドリフトが安易に

オーバーステアもよりコントロールし易くなっている。新型RS3は、極端な加速をしなくても、ステアリング・ホイールの舵角で簡単にドリフトと状態に持ち込めるようになっている。

ステアリング・ホイール左側にある、チェッカーフラッグ・マークが付いたサテライト・ボタンを押すと、サーキットに合わせたパフォーマンス・モードをすぐに作動できる。今回同時に追加されたステアリング右のRSボタンを押せば、RSインディビデュアル・モードに瞬時にアクセス可能だ。

◆RS3専用の新タイヤを装着

標準装着タイヤも一新した。新型が装着する「C」のラベルが付いたタイヤは、RS3専用に開発され、ドライ路面とウェット路面の両方でハイレベルなグリップ力を発揮し、あらゆる速度域で極めて正確なハンドリングを実現。オプションではセミスリック・タイヤのピレリPゼロ・トロフェオRも用意されている。

RS3は、これまでも非の打ち所がほとんどない、極めて完成度の高いモデルだったが、今回の改良でデザインと走りがさらに進化し、ますます魅力が増している。将来的には電動化される線が濃厚なだけに、ICE(内燃機関)、それも独自の5気筒ユニットを搭載した新型は、大きな注目を集めるだろう。

なお、ドイツ市場での価格は、RS3スポーツバックが6万6000ユーロ(約1065万円)から、RS3セダンは6万8000ユーロ(約1100万円)からとなっており、ドイツでは8月末に受注がスタートし、10月にデリバリー開始となる予定だ。

文=竹花寿実

(ENGINE WEBオリジナル)