「沖縄に女性の医療研究センターを」 “更年期問題”解決を目指す研究者を起業支援 沖縄科学技術大学院大学“OIST”とは

AI要約

沖縄科学技術大学院大学(=OIST)は、2011年に設立された理工学分野の大学院大学で、研究機関として世界トップレベルの評価を受けている。

OISTは国際性と学際性を特色とし、外国人学生や教職員が多く在籍しており、さまざまな研究分野が交差する環境が整っている。

最近では、イノベーションや研究者の起業支援に力を入れ、起業支援プログラムや沖縄での起業プログラムを展開している。

「沖縄に女性の医療研究センターを」 “更年期問題”解決を目指す研究者を起業支援 沖縄科学技術大学院大学“OIST”とは

沖縄科学技術大学院大学(=OIST)は、2011年に沖縄県恩納村に設立された、理工学分野の5年一貫制の博士課程を置く大学院大学だ。

研究機関としては世界トップレベルだが、いまイノベーションに力を入れ、研究者の起業を支援している。

OISTでがんの免疫研究をするかたわら、女性の健康問題の解決のため起業した研究者を取材した。

美しい海と森に囲まれた沖縄の恩納村。沖縄科学技術大学院大学(以下OIST)を訪れると自然と一体化した広大なキャンパスが広がっていた。

敷地内にある教員や学生ら向けのアパートは、オレンジ色の屋根が沖縄の空に映えている。

広報を担当する副学長のヘザー・ヤングさんにこの印象を伝えると、「キャンパスをつくるときのコンセプトが、建造物と自然のコンビネーション、自然と近隣の方々に敬意を払うことでしたので」と嬉しそうに語った。

OISTの大きな特色が国際性と学際性だ。国際性では、学生272人のうち8割が外国人で(53か国・地域)、研究に携わるスタッフなど教職員も半数近くが外国人だ(69か国・地域)。

2つめの学際性では、OISTには学部はなく、約90の研究室の研究者が分野を越えて出会い混ざり合うように研究施設が設計されている。

また学生は、初年度必ず自分の専門以外の研究室に所属するようにローテーションが組まれている。

OISTは日本の科学技術の発展、そして、沖縄の持続的な成長に貢献することをミッションとしている。

その4本の柱が研究、教育、イノベーションとアウトリーチだが、中でもいま注目されるのがイノベーション、研究者の起業支援だ。

OISTでは2015年から支援プログラム(POCプログラム)を設立して、メンターがアイデア段階から研究者に伴走し、ビジネス化に向けて資金や知財分野まで支援を行っている。

また2018年からは、沖縄県の支援でOISTに起業家を呼び込み沖縄での起業を支援するプログラム(OIST Innovation Accelerator)も開始し、これまで10社のスタートアップを支援してきた。

今年度からは国の大型助成プロジェクト(COI-NEXT)の支援も受け、現在計4チームが“OIST発スタートアップ”を目指して、実証や事業の拡大などに取り組んでいる。

さらにOISTと沖縄に魅力を感じる企業や個人が、オフィスを構えられるインキュベーション施設(OIST Innovation Incubator)も充実。

2025年春には、新たに2棟が完成予定と、もはや研究機関の枠を越えた一大イノベーションセンターのようだ。