三木首相殴打事件 要人警護のSP誕生の契機に 警視庁150年 64/150

AI要約

サンケイが報じた事件では、佐藤栄作元首相の国民葬で三木武夫首相が右翼暴漢に襲われる事件が起こった。

これを受けて警護の在り方が変化し、SP(セキュリティ・ポリス)が設立され、警備精鋭が拳銃や無線機を装備して要人を警護するようになった。

最近では安倍晋三元首相の殺害や岸田文雄首相の襲撃を受け、警護は人員増強や最新機器の活用でさらに強化されている。

三木首相殴打事件 要人警護のSP誕生の契機に 警視庁150年 64/150

《首相、殴り倒さる 右翼の暴漢が襲う》

昭和50年6月17日付『サンケイ』は、東京・北の丸の日本武道館で営まれた佐藤栄作元首相の国民葬で、三木武夫首相が右翼団体構成員の男に殴打された事件を、こう報じた。

課題として浮上したのは要人警護の在り方だ。それまでの警護は、目立たない服装で影のように寄り添うことが基本。警護が周囲に与える違和感を少しでも和らげるほか、警護員の数や配置を分からなくすることで、態勢を把握されにくくする狙いもあった。

要人襲撃や過激派による爆破事件も相次いでいたことから、警察は「陰の警護」と呼ばれた方針を転換。警視庁に同年9月13日、米国の大統領警護隊(シークレット・サービス)をモデルとしたSP(セキュリティ・ポリス)が発足した。

体格や、武道、拳銃の腕前、語学力なども問われる警備の精鋭で、スーツの上着の下には拳銃や無線機を装備。車列で移動する際は、窓から身を乗り出して周囲を警戒する姿もおなじみだ。

一方、選挙に関連して令和4年に安倍晋三元首相が殺害され、5年には岸田文雄首相も襲撃を受けたことから、警護は現在、大幅に強化された。人員を増強するとともに、AI(人工知能)やドローンなど最新機器も活用。あらゆる攻撃を防がなければならない「警護の戦い」に終わりはない。(橋本昌宗)